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清原果耶、時をかける女優は時代劇シチュエーションでますます輝く!

もう一人の「時をかける女優」

 さて「時をかける女優」といえば、黒島結菜さんもその一人でしょう。「アシガール」(2017年、NHK)や「時をかける少女」(2016年、日本テレビ系)といったタイムリープもののドラマにも主演していますし、朝ドラや大河、あるいは戦争をテーマにしたドラマ、映画にもしばしば出演しています。

 ただ、こちらは時代設定に溶け込むというより、現代的なパワーをその設定に吹き込むような役が目立ちます。大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」での村田富江役もそうでした。どちらがいいということではなく、黒島さんは動的な魅力、清原さんは静的な魅力を、作品にもたらす女優といえます。

 とはいえ、清原さんも特に古風でおとなしい女の子というわけではなさそうです。ダンスやカラオケが大好きで、専属モデルを務める雑誌「Seventeen」では、今どきのオシャレが似合う17歳の姿を見せてくれています。ドラマ「透明なゆりかご」(2018年、NHK)をはじめとする、現代もののドラマや映画でも結果を出してきました。

 実は大阪出身で、バラエティー「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ系)では、お笑い担当なのが悩みの女子高校生を慣れ親しんだ関西弁で演じたこともあります。また、オロナミンCのCMで披露した、まさに「元気ハツラツ!」な歌声を思い出す人もいるでしょう。

 もっとも、あのCMで歌ったのは昭和歌謡の「三百六十五歩のマーチ」(1968年)。こういうものにもハマるところが「時をかける女優」たるゆえんであり、世代が上の人たちにも好感を持たれる理由です。

 そんな彼女と似たタイプの先輩女優がいます。宮崎あおいさんです。演技の質といい、時代劇的シチュエーションとの親和性といい、近いものを感じます。「あさが来た」で宮崎さんはヒロインの姉を演じ、清原さんは彼女を慕う設定でした。これも何かの縁でしょう。

 そして、宮崎さんといえば、朝ドラでも大河でもヒロインを演じた数少ない女優です。このままいけば、いつか清原さんもそんな快挙を達成するのではと、未来への期待は膨らむばかりです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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