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きょうは「メーデー」、集会では何が行われている? なぜ「5月1日」になった?

5月1日はメーデーですが、「公園に大勢集まっているけど、何をしてるんだろう」と思う人もいるようです。主催者に聞きました。

2018年5月1日の中央メーデー(全労連提供)
2018年5月1日の中央メーデー(全労連提供)

 きょう5月1日は「メーデー」です。一般的には、労働者が集まって権利を主張する日とされていますが、労働組合の組織率が下がっている上に、ゴールデンウイークのほぼ真ん中とあって労組員以外の関心は低くなりがちです。メーデーで何をやっているのか。なぜ、5月1日なのか。毎年5月1日に東京で開かれている全労連系の「中央メーデー」常任実行委員の井沢智さんに聞きました。

もともとは農民の祭りから

Q.今回のメーデーは90回目ということですが、メーデーのそもそもの始まりを教えてください。

井沢さん「労働運動としてのメーデーは1886年5月1日にアメリカ・シカゴでストライキが行われたのが始まりです。ヨーロッパには、農民が夏の豊穣(ほうじょう)を祝う『5月祭』という祭りがありました。18世紀後半、産業革命が起こって労働者階級が誕生し、労働組合が組織されると、5月祭の中で自分たちの要求を使用者側に対して鮮明にする日を設けようということになりました。

シカゴで掲げられたのは『8時間労働』です。8時間働き、8時間寝て、8時間は自由に使う。当時は労働時間に法的規制がなく、14時間や16時間働くのが一般的でした。当時はマルクスらによって経済学の分析も進んでいて、8時間働けば、資本家も利益が出るし、労働者への賃金も出せる、という科学的な根拠がありました」

Q.日本での始まりは。

井沢さん「1920年に東京・上野公園で第1回のメーデーが行われました。戦争中、政府が禁止したため中断しましたが、戦後再開しました。発祥の地であるアメリカでは現在、9月の『レーバーデー』(労働者の日)を重視していますが、ヨーロッパを中心に世界各国では5月1日を、労働者が要求を掲げて立ち上がる日として大事にしています。

メーデーはお祭りの要素もありますが、原点は労働者の日です。『生活のかかった祭り事』です。農民が生活の中で夏の豊穣を祝っていたのも、死活問題だから。祭りといっても単純に騒いでいるわけではなく、願いです。自然の中で農作業をするということは天候に左右されます。今年こそは豊作を、といった切実な思いを持っていたのです」

Q.5月1日と限定せずにメーデーの集会を開く団体もありますが、全労連が必ず5月1日にメーデーの集会を開く理由は。

井沢さん「長い歴史の中で積み上げたもので、ずっと5月1日です。大事な原点でもあります。平日の年は休みを取って参加してもらっていますが、なかなか休みが取れなくなっているのも現実です。強制はできませんが、何曜日であっても、5月1日にやってきました」

Q.今年は5月1日が新天皇即位を祝う休日となり、10連休の人もたくさんいます。その中で、5月1日に開催することで「長期旅行に行けない」という声はないのでしょうか。

井沢さん「さまざまな皇室の行事が重なっていますが、対立するものではありません。組合員の中には『皇室行事があるので多少自粛した方がよい』という声もありますが、天皇制に触れるつもりはありませんし、あくまで『労働者の日』として取り組みます。

大型連休だから出かけるという人もいるのは、悩みどころではあります。あらかじめ予定している人は仕方ありません。組合員一人一人の参加は個人の判断で、組合としては『なるべく参加してね』というしかないです。ただ、毎年お子さんを連れてくる人もいますし、遊べる場所も用意しています。

10連休に関しては、別の問題があります。日給制で働く人たちの収入がなくなって生活に支障が出たり、逆に10連休も関係なく働かないといけない人がいたりします」

Q.具体的な内容を教えてください。組合がない会社もあり、「メーデーって何をしているんだろう」という声もあります。

井沢さん「集会の部分は、主催者あいさつや連帯のあいさつ、職場代表者の労働課題の発表などです。長時間労働の実態など、共感できる部分があると思います。最後はメーデーの宣言案を拍手で承認します。宣言案では、長時間労働の是正や最低賃金を1500円に上げること、憲法9条を守ること、大企業と中小企業の不公平な取引慣行をなくすこと、などを掲げる予定です」

(オトナンサー編集部)

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