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櫻木優平監督、不安定な世の中で「何をすべきか考えるきっかけに…」

映画「あした世界が終わるとしても」で、長編アニメ映画初監督を務めた櫻木優平監督にインタビュー。映画化の経緯や物語の構築などについて聞きました。

櫻木優平監督
櫻木優平監督

 映画「あした世界が終わるとしても」で長編アニメ映画初監督を務めた櫻木優平監督。同作は、幼い頃に母親を亡くし、心を閉ざしがちな真(梶裕貴さん)と、彼を見守ってきた琴莉(内田真礼さん)の前に、「もうひとつの日本」から「もうひとりの僕」ジン(中島ヨシキさん)が現れるSF長編アニメ映画です。

 オトナンサー編集部では、櫻木監督にインタビューを実施。映画化の経緯や物語の構築、設定などについて聞きました。

SFファンが見ても面白い話に

Q.映画化の経緯を教えてください。 

櫻木監督(以下敬称略)「以前、Huluで『ソウタイセカイ』という作品を作らせていただいたのですが、同じ設定を生かしてもう少し作りたいという思いがスタッフにありました。そんなことを思っていたタイミングで映画のお話を頂き、それをきっかけに新しく組み直して新規映画として作るという話になりました」

Q.物語の構築はどのようにしていきましたか。 

櫻木「クラフターとして、オリジナル映画を作りたいという話があり、ベースとなるもう一つの日本にもう一人の僕がいる、という設定までは皆で考えました。それを軸にストーリーやキャラクターたちを作り、どう展開していくと面白く、皆さんが共感できる作品になるのかなと考えながら、納得するまで何度も書き直していきました」

Q.何度も書き直したということですが、難しかったところは。 

櫻木「キャラクターの感情の流れ、どこに終着するかを軸に、SFファンの視聴者が見ても面白い話にする必要がありました。SFとして外れてはいけない設定があるので、キャラクターの感情や行動を何か一つ変えるだけで、物語全体の整合性が取れなくなり、最初から構成を組み直すということが何度もありました。まるでパズルを組み直すような作業でした」

Q.メインの舞台を新宿にした理由は。 

櫻木「日本の象徴的な場所と舞台にしたいと考えていました。最初は渋谷にしようかと考えたのですが、近年、若者が新宿に増えてきたなという感覚があり、変更しました。特にアニメを見る層は北へと流れてきた印象があります」

Q.キービジュアル、キャラが特徴的でした。どのようなメッセージが込められているのでしょうか。 

櫻木「キャラクターに関しては、真を前にするか、琴莉を前にするか議論がありました。男が前を歩いて引っ張るべきだという意見もありましたが今の時代、女性が前だろうと。本編のキャラクター性も加味しつつ、琴莉が引っ張り、真がついていく形に落ち着きました。琴莉が意気揚々としていて、それを後ろから見ている真みたいな」

Q.一つの世界は今の日本のような世界で、もう一つの世界は政府とレジスタンスが戦う、殺伐とした世界です。もう一つの世界の設定は相対世界と同じような設定でしょうか。 

櫻木「基本的に似てはいるんですが、キャラクターの設定が変わり、それに引っ張られ、世界の情勢や環境の設定も変わりました。街並みのビジュアルコンセプトは変わりませんが、そこに住まう人たちの設定が変わりました」

Q.アフレコ現場はいかがでしたか。 

櫻木「今回、自分で声優さんとやり取りさせてもらいながら進めたのですが、梶さんや中島さんなど、以前もお仕事でご一緒したことのある方が多かったので、気さくに提案もしていただき、いいムードで進めさせていただくことができました。梶さんには、セリフのご提案をしていただいたり、近い距離感でこだわって進めることができました」

Q.遠隔人型兵器の設定はどのように生まれたのでしょうか。 

櫻木「元々、ロボットに乗って戦うみたいな構造を考えていたのですが、それだと自分の趣味的にはハードコアすぎて入り込みづらいと思い、ロボットの代わりにロボ娘にしませんかと話してこうなりました」

Q.この作品で伝えたいことは。

櫻木「一番気を使っているのはリアリティーです。特に、現代の若者のリアルを丁寧に描きたいと思いました。主人公の真を若者代表として立たせ、実際に非日常が起きたとき、現代の若者はどういうリアクションを取るんだろうと考えながら制作を進めました。

戦争もいつ起きるか分からないし、大災害も起きるかもしれない。現在は、戦争がずっと起きていないので、皆さん、平和に慣れている。ただ、不安定な世の中なので、そういうときに何をすべきか考えるきっかけになる作品になれば幸いです」

 映画「あした世界が終わるとしても」は1月25日から全国公開。

(オトナンサー編集部)

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