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山崎賢人、菅田将暉、松坂桃李…夏ドラマが空前の“イケメン祭り”になった理由

夏は刑事・医療ドラマが減る時期

 主に考えられるのは、以下の2つの理由。

 1つ目の理由は、女性視聴者の占めるウエート。在宅率の低い夏は、視聴率が下がりやすい時期であり、各局が「いかに録画でなく、リアルタイム視聴してもらうか」という難題を抱えています。

「近年の連ドラ視聴率は女性が支えている」のが業界の定説だけに、制作サイドとしては「低視聴率を避けるために、最低でも女性層だけはつかんでおきたい」のが本音。たとえば、複数のイケメンが登場し、甘いセリフ、涙、アクション、変顔などを披露するだけでSNSが盛り上がるなど、彼らの存在は視聴率を確保するシンプルかつ即効性の高い方法となっているのです。

 特に今夏は各年代のイケメンがそろっていますが、これは女性視聴者の好みが細分化したことへの対策。主演だけではなく、助演にも注目する女性視聴者が増えるなど、「カッコイイ」という感覚が細分化しているため、幅広い好みに対応すべくさまざまなタイプのイケメンを大量投入しているのです。

 2つ目の理由は、夏ならではの作品ジャンル。近年は安定した視聴率をたたき出す刑事・医療ドラマが3~5割を占めているため、「若手のイケメンを大量投入すると視聴者に違和感を与えてしまう。見応えが損なわれてしまう」という事情があります。

 その点、夏は刑事・医療ドラマの割合が減り、恋愛、家族、学園、ビジネス、時代物など作品ジャンルが分散しやすい時期。たいていのジャンルは、刑事・医療よりも若手俳優を起用しやすく、前述した中でも20代俳優が最も多いことが、それを証明しています。

唯一、非イケメンで勝負した「高嶺の花」

 その点、異彩を放っているのは、主人公の相手役にいわゆる「非イケメン」を起用した「高嶺の花」。石原さとみさんと恋に落ちる相手は、ミュージシャンの峯田和伸さんであり、お世辞にもイケメンとは言えません。

 タイトルからもわかるように、「峯田さんの起用は石原さんとの格差恋愛をテーマにした物語だから」なのですが、残念ながら視聴率は1話11.1%、2話9.6%、3話8.2%と徐々に落ちています。その原因が「非イケメン」なのかは断定できませんが、他のドラマが順調に2桁視聴率をキープしているのを見ると、うがった見方をしたくなってしまうもの。

 中盤から終盤にかけて、見た目を超える内面の素晴らしさを描くことでV字回復できるのか。イケメンがズラリそろった今夏だからこそ、「高嶺の花」の行く末が気になる人も多いのではないでしょうか。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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