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2020年に向けてスポーツ人気が高まり、名番組復活も…なぜ“王者”日テレだけはスルー?

2020年の東京五輪・パラリンピックまで注目を集め続けることが予想されるスポーツ界。これに乗っかろうと、テレビ各局がスポーツエンタメ番組に注力していますが唯一、日本テレビにはこうした動きが見られないようです。

東京五輪に向けてスポーツエンタメ番組は増える?

 平昌五輪・パラリンピックが相次いで盛り上がったほか、プロ野球が間もなく開幕、さらに6月からサッカーワールドカップロシア大会、来年9月にラグビーワールドカップ日本大会と、話題に事欠かないスポーツ界。2020年7月スタートの東京五輪・パラリンピックまで注目を集め続けることが予想されています。

 そんなムードを先読みして、「世間の盛り上がりに乗っていこう」と考えているのがテレビ局。2011年10月スタートの「炎の体育会TV」(TBS系)、2016年4月スタートの「グッと!スポーツ」(NHK)の既存番組に加えて、昨年11月に「ビートたけしのスポーツ大将」(テレビ朝日系)、今年1月に「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)を相次いでスタートさせました。

 それぞれコンセプトが異なるものの、「各競技のトップアスリートを招いたエンターテインメント」という点では共通。アスリートのすごさだけでなく、親しみやすい人柄や意外な過去などにもクローズアップするスポーツエンタメ番組に仕上げています。

 しかし、視聴率で民放トップを独走する王者・日本テレビのスポーツエンタメ番組はありません。今年春の番組改編でも新番組はなく、レギュラー番組どころか、毎年末の定番だった「中居正広 本気の〇番勝負」も放送しませんでした。なぜなのでしょうか。

2020年に向けた番組はまだ早い

 私が各局のテレビマンに聞いた話で多かったのは、「2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた番組は、正直まだ早い」という声。

「ビートたけしのスポーツ大将」「ジャンクSPORTS」が相次いでスタートしたのは、「ザ!鉄腕!DASH!!」「世界の果てまでイッテQ!」(ともに日本テレビ系)の強力番組に押され、視聴率で苦しむ日曜19~20時台のテコ入れであり、苦肉の策。「“名番組の復活”で、あえて早めの勝負を仕掛けよう」「東京五輪・パラリンピックに向けたスポーツ番組で先行しよう」という狙いがうかがえます。

 しかし、日曜夜以外も視聴率争いでトップを走る日本テレビは、そんな先行争いに乗りませんでした。「今、ある程度の結果を出している番組を無理に終わらせてまで、始める必要はない」「視聴率で苦しむ他局と同列で戦う理由はない」のです。

「しばらくは、情報番組やスポーツ速報番組で各競技や各アスリートを追えば十分」。あるいは、「通常のバラエティーへ人気アスリートを出演させつつ、必要時に特番を放送するくらいのほうが効率は良い」というのが本音。「新番組をスタートさせるにしても、東京五輪・パラリンピックの前年から畳みかけよう」という“ゆとり”があるのです。

最も視聴率が取れるのは生放送の競技中継

 もともとスポーツエンタメ番組は、それほど高視聴率を稼げるコンテンツではなく、レギュラー番組として毎週放送し続けるのは、かなり難しいことなのです。

 実際、「とんねるずのスポーツ王は俺だ!」(テレビ朝日系)が高視聴率を獲得し続けているにもかかわらず、年2回の特番放送にとどまっているのがその証拠。「年2回に絞って、超一流アスリートを集めた豪華版にしなければ高視聴率が獲得できない」という不安があるのです。

 平昌五輪や箱根駅伝などを見れば分かるように、スポーツで高視聴率を獲得できるのは、生放送の競技中継。スポーツエンタメ番組は、単独のショーコンテンツであると同等に、競技中継をいっそう盛り上げるための助走的な役割も大きいのです。

 しかし、早くもスポーツエンタメ番組が増えているのは、「東京五輪・パラリンピックがとびきりのビッグイベントであるから」に他なりません。今後2020年が近づくにつれて、各局が2~5つものスポーツエンタメ番組を手掛けるような気もしています。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「新・週刊フジテレビ批評」「TBSレビュー」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。