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20年以上前のわいせつ行為で男性教諭を懲戒免職、「時効」は存在しない?

「30年前の被害」でも訴えられる?

Q.今回の札幌市教委の件で、教諭側が異議を申し立てるなど法的な対抗措置は取れるのでしょうか。それに関して、時効は関係してくるのでしょうか。

佐藤さん「懲戒処分を受けた教諭は人事委員会に、処分の違法性や不当性を審査するよう請求することができます(地方公務員法49条の2)。また、その判断に納得がいかなければ、教諭は懲戒免職処分の取り消しを求めて裁判を起こすことも可能です(同法51条の2)。

本件と類似の事案で裁判になり、一審(福島地裁)と二審(仙台高裁)で判断が覆った事例があります。一審は問題となる行為から20年以上の月日が経過したことを考慮し、懲戒免職処分を取り消しましたが、二審(仙台高裁)は『20年以上前のことであるとしても、極めて悪質な行為であって、県民の学校教育に対する信頼を根底から覆す悪質極まりないものであるから、処分は有効』であると判断しました。

一審、二審とも、問題となった行為から長期間経過していることを、懲戒処分を取り消すか否かの考慮要素としていますが、期間の経過をどれほど重視しているかに差があるようです。仙台高裁の考え方によれば、民事訴訟で時効が認められたとしても、懲戒処分の有効性判断への影響は限定的だと考えられます」

Q.もし、「30年前に先生からわいせつ行為をされた」「35年前に先生から殴られた」といった訴えを今から裁判所や教育委員会に主張した場合、認められる可能性はあるのでしょうか。

佐藤さん「30年、35年と時間が経過すると当時の記憶はあいまいになり、客観的な証拠も関係者も見つかりにくく、事実が認められにくいのは確かです。しかし、例えば、当時の日記が残っていたり、問題となる行為を目撃していた人の証言があったりすると、札幌市の件のように裁判所などで事実が認められ、懲戒処分につながる可能性はあるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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