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NiziU、待望デビュー 実力だけでなく“特別な自分”を大切にする姿勢の時代性

韓国社会の流れに適応するNiziU

 そんな彼女たちのデビュー曲「Step and a step」のMVが11月25日に公開されました。中でも注目されたのが、体調不良で休養中のMIIHIが登場する場面。メンバーのお母さん的存在であるMAYAが1人でたたずむMIIHIを迎えに行き、新たに9人で歩み出すという内容が「泣ける」と話題になりました。「大丈夫よ そのままで/安心して 遅れてないから」「ゆっくり行っていい 休んでみてもいい」といったJ.Y.Park氏による歌詞にもまるで、MIIHIを励ますような言葉が並んでいます。

 また、NiziUが「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)や「CDTVライブ!ライブ!」(TBS系)で披露した「Make you happy」でも、MIIHIのパートはそのまま音源で使用。そんなふうに、MIIHIの居場所を確保しているところを見せる活動の形はファンも安心できるものです。

 近年、韓国では「私は私のままで生きることにした」(キム・スヒョン)や「あやうく一生懸命生きるところだった」(ハ・ワン)といった韓国文学にも見られるように、自尊感情を高めることの大切さが説かれています。韓国は元々、学歴社会であり、一方で容姿も非常に重視されるなど、幼い頃からすさまじい努力を必要とされることも。

 そのため、K-POPアーティストたちも常に欠点のない人間であることが求められていました。しかし、特に2019年は彼らの自死が相次いだこともあり、ようやく、それまでの生き方が見直されつつあるように思います。

 NiziUはmそんな韓国社会の流れに適応したグループといえるのではないでしょうか。もちろん、J.Y.Park氏はパフォーマンス面で厳しくアドバイスをすることもありますが、虹プロでもMIIHIに「ちゃんとご飯食べてね。少し痩せてるから、分かった?」と声を掛けているように、いつも、メンバーの体調を気遣っている様子です。デビュー前のタイミングでMIIHIを休養させたのも、早い段階で彼女の不調に気付くことができたからでしょう。

 J.Y.Park氏は虹プロで、こんなことを口にしていました。

「僕が君たちに期待することは歌とダンスの実力が全部ではありません。それに劣らず、持っていてほしいものは立派な人柄です。その理由は君たちが世の中に良い影響を与えてほしいからです」

 活躍するアーティストになりたいなら、努力は大事。けれど、それ以上に特別な存在である自分を大切にする。それがJ.Y.Park氏の考えであり、彼の言葉を体現するNiziUを通して、今を生きる全ての人に伝えたいことなのかもしれません。

 日本も例外ではなく、NiziUの生き方そのものがファンを勇気づけ、自分を愛する心を教えてくれています。

(ライター 苫とり子)

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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