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松本まりか“あざとかわいい”と“真面目”のギャップが生む魅力

テレビ朝日系連続ドラマ「妖怪シェアハウス」など近年、さまざまな作品で活躍が目立つ松本まりかさん。ブレークの背景を専門家に聞きました。

連続ドラマ「妖怪シェアハウス」(C)テレビ朝日
連続ドラマ「妖怪シェアハウス」(C)テレビ朝日

 きょう9月19日、最終回を迎えるテレビ朝日系連続ドラマ「妖怪シェアハウス」(毎週土曜 後11:15)に出演中の女優・松本まりかさん。

 同ドラマは、気弱で空気ばかり読んでいた主人公・目黒澪(小芝風花さん)が、おせっかいな妖怪たちに助けられながら、たくましく成長していく姿を描くホラーコメディー。松本さんは、人間の姿のときは看護師として働く幽霊・四谷伊和役を演じています。

 松本さんは2016年、現在の事務所へ移籍し、翌年には出演映画が6本公開。2018年には、ブレークのきっかけとなったテレビ朝日系連続ドラマ「ホリデイラブ」へ出演し、以降、同局系連続ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2019年)など、さまざまな作品への出演が続いています。

 近年、目覚ましい活躍を見せている松本さんについて、作家・芸能評論家の宝泉薫さんに聞きました。

声優や舞台で培った確かな演技力

 松本さんは1984年生まれの36歳。「ホリデイラブ」で主人公の夫の不倫相手・井筒里奈を演じたことで一躍脚光を浴び、同作での演技が“あざとかわいい”“最強悪女”などと話題を集めました。宝泉さんは「本当の意味でのブレークはソフトバンクのCM出演ではないでしょうか」と指摘します。

 CMには、白戸家のお父さんを誘惑するウエートレス役で出演中ですが、同CMは過去に、広瀬すずさんや乃木坂46、八村塁さんら、そのときの旬の人物を積極的に起用する傾向があります。

「ソフトバンクのCM出演で、ドラマ視聴者だけでなく一般への認知も広がり、あの特徴的な声も受け入れられるようになりました」(宝泉さん)

 松本さんは16歳のとき、NHK教育テレビで放送されたテレビドラマ「六番目の小夜子」(2000年)でデビューし、その後、NHK連続テレビ小説「純情きらり」(2006年)に出演。宝泉さんによると、松本さんは元々、朝ドラヒロインを目指していたと公言していますがオーディションには度々落選。同作では、主演の宮崎あおいさんの同級生役で出演することになります。

「朝ドラが今ほど『ブレークの登竜門』としてまだ認識されていない時期でした。近年、ヒロインの恋人や同級生などの役を務めた方がブレークをする傾向があるだけに、時期が惜しかったです」

 声がコンプレックスで、癖が強いことを自覚していたという松本さんはその後、その声が評価され、声優業や舞台などに積極的に出演、下積みを重ねていきます。デビューから「ホリデイラブ」で注目されるまでおよそ18年。「その間もコツコツと努力を積み重ね、女優としての実力を高めていったのは、松本さん自身の真面目さによるものでしょう」。

「作品でのイメージや話題性が先行している感はあるものの、これはブレーク期にはどうしてもつきまとってしまうものです。しかし、長い下積みで培った確かな演技力とかれんなルックスを兼ね備えているので、それは武器となり今後も重宝されるはず。真面目さと“あざとかわいい”イメージのギャップはプラスに働きます」

2次元カルチャー浸透が追い風に

 さらに、以前よりも2次元カルチャーが浸透したことも、松本さんにとっては追い風となっているそうです。

「コンプレックスだったという声も、それはもろ刃の剣。見る側がキャラや演技力に納得すれば逆に大きな魅力となる上、2次元カルチャーの浸透で、松本さんのような『アニメ声』『声優ボイス』に世間が慣れてきて、むしろ、面白さや親しみやすさを感じるようになったことも影響しています。

とにかく、一度聞いたら忘れられない、ストーリーに何かが起こると期待させてしまうような“声が名刺”になる女優です。それを本人も制作側も生かせるようになったのだと思います」

「今後、主演の話も出てくるかもしれませんが、松本さんの魅力は味のある脇役や助演でこそ輝きます。作品をかき回すような役が生きるのでは、と期待しています」

 ブレーク期にありがちな話題性だけでなく、確かな実力を持つ松本さんの活躍は今後もまだまだ続きそうです。

 テレビ朝日系連続ドラマ「妖怪シェアハウス」最終回は、9月19日午後11時15分~12時5分放送。

(オトナンサー編集部)

宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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