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自社は「甲」「乙」どっち? 今さら聞けない「契約書」の基礎知識

勤務先の会社が取引先との「契約書」を作成することに――。契約書における「甲」「乙」はどのように決まり、押印にはどのような種類があるのでしょうか。契約書作成の基礎知識をご紹介します。

契約書の「甲」「乙」はどのように決まる?

 法律の専門家である弁護士が、私たちの暮らしに身近な事象についてわかりやすく解説します。今回のテーマは「言い回しや押印など契約書作成の知識」、取材に応じてくれたのは牧野和夫弁護士です。

「勤務先の会社で、取引先との契約書を作成することになりました。そこで契約書における『甲』『乙』の決め方や、押印の種類について教えてください」

「割印」「消印」「訂正印」「捨印」

Q.契約書の「甲」「乙」はどのように決まるのでしょうか。

牧野さん「どちらが『甲』でどちらが『乙』でなければならない、という法的なルールは特に存在しません。慣習的なルールとしては、ベンダー(受注)側が契約書を作成する場合、お客さまに対してへりくだり、お客さまを『甲』として契約当事者の最初に持ってきて、自社を『乙』とする形がよく見られます。あるいは、契約書を作成する側が気を使って、お客さまでない相手を『甲』とすることもあります。この傾向は、謙譲を美徳とする日本人はもちろん、国際的な契約書でも一般的です」

Q.契約書で使用する「押印」の種類を教えてください。

牧野さん「『割印』『消印』『訂正印』『捨印』があります。割印は、契約書が複数枚にわたる場合、それらが一体であることを示すためにページの境目に押すもので、不正な差し替えを防ぐのが目的です。消印は、印紙の再使用を防ぐために、印紙と契約書面にまたがって押印するもの。訂正印は、記載事項の訂正・追加・削除のために行われます。捨印は、記載事項の軽微な訂正・追加・削除を見越してあらかじめ行われるものです」

Q.金額によっては収入印紙が必要になりますが、印紙代はどちらが負担すべきですか。

牧野さん「契約当事者が2者の場合、契約書の原本も2通になるため、それぞれの当事者が、自身の保管する契約書原本に貼付する印紙代を負担するのが一般的です。ベンダー側がお客さまの分まで負担することはあまりありません」

Q.印紙が貼付されていないなど、印紙税法の規定に従った印紙の貼付が行われていない場合、契約書の効力に影響はありますか。

牧野さん「契約書の有効性に関する判断は、民法や関連法の規定に従って行われるため、印紙の貼付がなされていない場合、過怠税や刑事罰の対象にはなっても、契約の効力には影響しません」

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。