ベストセラー「明治維新という過ち」が決定的に過っているワケ【前編】
幕末志士の思想的背景となったもの
薩長の志士たちの思想と行動は、鎌倉時代以来の天皇親政への回帰を希求する国体思想の発展の上に成り立っていました。崎門学、水戸学、国学などの説く天皇親政論こそが、幕末の志士の思想的な背景となっていたのです。崎門学派の国体思想を取り入れた水戸学は、「大日本史」編さんに象徴される国体思想の発展に重要な役割を果たしました。
ところが、原田さんは水戸学を冒とくしてはばかりません。たとえば、<「水戸学」とは、実は「学」というような代物ではなかった。空疎な観念論を積み重ね、それに反する「生身の人間の史実」を否定し、己の気分を高揚させて自己満足に浸るためだけの“檄文”程度のものと考えて差し支えない>、<「大日本史」という「こうあらねばならない」という観念論による虚妄の歴史書編纂に血道を上げた>などと言っています。原田さんは、水戸学を攻撃してきた小説家・中村彰彦氏の議論の繰り返しにしか見えません。
(ジャーナリスト 坪内隆彦)
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