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麒麟がくる、批判や「ポツンと一軒家」以上の敵とは? 求められる積極的な守り

初回視聴率19.1%を記録するなど好スタートを切った大河ドラマ「麒麟がくる」。ただ、今後待ち受けている“敵”がないわけではありません。

「麒麟がくる」主演の長谷川博己さん(2019年10月、時事通信フォト)
「麒麟がくる」主演の長谷川博己さん(2019年10月、時事通信フォト)

 1月19日の初回視聴率が19.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したほか、23日に「麒麟がくる SNSで高評価7割」という記事がYahoo!のトップページを飾るなど、これ以上ない好スタートを切った大河ドラマ「麒麟がくる」。

 昨年放送された「いだてん~東京オリムピック噺~」の記録的視聴率不振、昨年11月の沢尻エリカさん降板騒動、撮り直しによる2週間の放送延期などネガティブな話題ばかりだっただけに、「むしろ、それらが注目度アップにつながり、まずは初回を見てもらえたのでは」という声も見られます。

 しかし、好スタートを切ったとはいえ、今後の懸念材料がないわけではありません。「麒麟がくる」にはどんな敵がいて、どんなことが成否を左右しそうなのでしょうか。

「最も制作費がかかる番組」という印象

 初回放送時、ネット上には登場人物の衣装が鮮やかだったことに、「カラフルすぎる」「目がチカチカする」「これで戦国時代と言えるのか?」などの批判が上がりました。これは時代考証をベースにあえて選んだものでしたが、放送を重ねるごとに理解が進む余地がありそうです。

 ただ、放送するたびにこのような批判にさらされるのが、今や大河ドラマの宿命。受信料徴収の是非が論じられる中、大河ドラマは「最も制作費がかかる番組」という声もあるだけに、ささいなことでも批判を受けやすいのです。

 順調なスタートを切った「麒麟がくる」にとって1つ目の敵は、こうした批判を浴びせる視聴者の声であり、今後はこうしたネット上の批判をどのように回避していくのか? 批判があがったときにどう対処していくのか? これが成否の鍵を握っています。

 もう一つ「麒麟がくる」の敵と言われているのが、裏番組の「ポツンと一軒家」(朝日放送、テレビ朝日系)。中高年層をベースにした視聴者層がかぶり、「昨年、大河ドラマから視聴者をごっそり奪った」と言われる番組であり、両方見る視聴者もどちらかは録画するため視聴率にはつながりません。

 1月19日の視聴率を比較すると、「麒麟がくる」の19.1%に対して「ポツンと一軒家」は16.1%。前回放送の1月5日は19.5%と、「麒麟がくる」のスタートによって3.4%も下がっただけに、やはり視聴者層が似ているのでしょう。今後は両番組が「よりリアルタイムで先に見たいのはどちらなのか?」を争っていくわけですが、その意味で「麒麟がくる」にはもう一つの敵が存在します。

BS4K、BS、録画、身内に奪われる視聴率

 その「もう一つの敵」は、まさかの身内。「麒麟がくる」のBS4Kは日曜午前9時から、BSプレミアムは同午後6時から、ともに同午後8時からの地上波に先駆けて放送されます。

 この放送形態で生じるのは視聴率の分散。「少しでも早く見たい」「8時まで待ちきれない」、あるいは「きれいな映像や音響で見たい」という番組のファンほど、BS4KやBSでの放送を選ぶものです。「大河ドラマの録画視聴率は地上波よりBSの方が高い」と言われていることが、その裏付けと言えるのではないでしょうか。

 近年、NHKの評価指標は地上波の視聴率だけでなく、BS4KやBSの視聴率、さらにそれぞれの録画視聴率を合算するという傾向もあるようです。しかし、社内としては合算で評価していても、メディアと世間の見方は別。メディアは地上波の視聴率のみを報じ、BSや録画などの視聴率は報じません。また、世間の人々は地上波の低視聴率を見て、批判の声を上げがちです。

 そんな苦境を避けるためには、NHK自らメディアに、地上波、BS4K、BS、各録画の視聴率を送り、併せて報じてもらうくらいの“守り”が必要でしょう。知名度の高い大河ドラマの低視聴率報道は、販売部数を伸ばし、ページビューを稼げるものとして悪意のある記事を書くメディアが少なくないからです。

 その点、昨年の「いだてん」は攻められっぱなしで、守りはおろそかになっていました。今年の「麒麟がくる」は物語の内容で攻めるのはもちろん、視聴率報道から作品を守る積極性が求められているのではないでしょうか。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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