“認知症”の祖父と孫娘の交流描く漫画 食事を運ぶといつも…「涙が出ました」と反響
認知症の祖父と孫娘の交流を描いた漫画が話題に。早く帰宅したときは、祖父の自室に食事を運んでいた孫娘。祖父は涙を流さんばかりに感謝し…。

認知症の祖父と孫娘の交流を描いた漫画がSNS上で話題となっています。早く帰宅したときは、祖父の自室に食事を運んでいた孫娘。いつも、祖父は涙を流さんばかりに感謝し、その後、唐突に上を指差し…という内容で「愛の深さに感動」「みんな優しい」「涙が出ました」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。
長女も次女も同じことを体験
この漫画を描いたのは、パート主婦漫画家の三丁目いちこ(ペンネーム)さん(56)です。在宅介護をして見送った義父とのエピソードを漫画にして、インスタグラムで発表しています。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
いちこさん「2017年末に義父(以下「ひろぽ」)が他界したとき、悲しんでいる私たち家族にお寺のご住職が『故人を思い出すことが何よりの供養』とおっしゃいました。悲しみの中でひろぽを思えば、晩年、認知症を発症してからの面白エピソードばかり。思い出を記録しているうちに、これは何らかの形にして残したいという思いが湧き、漫画にしてみようと思いました」
Q.今回の漫画を描いたきっかけは。
いちこさん「ひろぽのエピソードを娘たちと話しているとき、長女がこの話を思い出しました。次女も同じことがあったといい、娘たちがいないときは私にも時々あったので、皆それぞれ同じように鴨居の作品を紹介されて、同じように新鮮なリアクションを取っていたことが分かり、面白くて漫画にしました」
Q.孫たちの作品を飾るのは、要介護になる前からでしたか。
いちこさん「昔から飾っていましたが、当時はそのときのお気に入りを数点選んで飾っていました。所狭しとたくさん飾ったり、紹介したりするようになったのは要介護になってからです。誕生日や父の日のケーキにつけたピックまで飾ってありました」
Q.作品をずっと大事にしてくれることについて、娘さんは何かおっしゃっていますか。
いちこさん「幾重にも重なっていたので、遺品整理をしているとき、こんなのまで取ってあるんだと感激していました。幼稚園の頃の絵や写真も飾っていました。時々名前がないものもあり、長女と次女のどちらが書いたんだろうと推理して楽しんでいました」
Q.思い出を漫画にすることで、ご自身の中で変化や改めて思うことはありますか。
いちこさん「はじめのうちは、素人の絵で、認知症が題材の漫画なので不快な思いをする方がいらっしゃるかもしれない、という懸念もあり、恐る恐る描いていました。しかし、描いているうちに、あんなこともあった、こんなこともあったと思い出があふれ、もっと描きたいと思うようになりました。認知症になってからは大変なときもありましたが、『大変』を描かないことで、ますます、ひろぽが大好きになっているような気がします」
Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。
いちこさん「ありがたいことに、9割以上は好意的なご意見を頂きました。『亡くなったおじいちゃん(父親)を思い出す』『ひろぽに癒やされる』『ひろぽ、かわいい』などがうれしかったお言葉です。医療・介護関係のお仕事の方からも参考になるご意見を頂き、ありがたいです」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。
いちこさん「先日、認知症サポーター養成講座を受講し、まだまだ介護について知らないことがたくさんあって驚きました。『みんなに知ってほしい』と思うことや、『困ったときにどこに相談したらいいのか』などの情報を漫画で発信していきたいと思っています。『80歳以上の2人に1人が認知症』の時代が来るとされています。たくさんの方に認知症のことを知ってほしいと思います。
また、もっと絵が上手になったら、雑誌での連載や、ひろぽの本も出したいと思います。どうしたら本が出せるか分からないので、教えてほしいです」
(オトナンサー編集部)
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