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「パパは奮闘中!」セネズ監督に聞く、“捨てられる男”選んだ理由やプレッシャー

映画「パパは奮闘中!」でメガホンを取ったギョーム・セネズ監督に単独インタビュー。捨てられる男を題材にした理由などについて聞きました。

ギョーム・セネズ監督
ギョーム・セネズ監督

 映画「パパは奮闘中!」でメガホンを取ったギョーム・セネズ監督。同作は、妻と2人の子どもたちと幸せに暮らしていたオリヴィエ(ロマン・デュリスさん)ですが、ある日、妻が突然家出してしまい、慣れない子どもの世話に追われてしまいます。妻を探すオリヴィエの元に1通の手紙が届き…奥さんに逃げられた夫の奮闘を描くヒューマンドラマです。

 オトナンサー編集部では、セネズ監督に単独インタビューを実施。捨てられる男を題材にした理由、世界中から注目されていることへのプレッシャーなどを聞きました。

従来と逆の方向に行くのが好き

Q.奥さんが出ていったという内容のわりには、全体的に明るさを感じました。

セネズ監督(以下敬称略)「明るくしないと、暗くて見るのがつらい映画になってしまいます。テーマ自体が明るいものではないので、軽いものも入れました。実人生というのは、不幸な時期であっても、いつもうつむいて泣いているわけではなく、不幸な中でも笑うこともあります。人生には波があり、どちらかの色に染まってしまうことはない、人生は複雑なものということを反映しています」

Q.捨てられる男という珍しい切り口ですが、この切り口で映画を作ろうと思った理由は。

セネズ「私は従来と逆の方向に行くのが好きなので、見捨てられた男性は珍しいですが、私の長編第1作『キーパー』では10代の妊娠を描いていて、従来とは逆で、男の子の方が子どもをキープしたい、女の子の方が手放したいという作品でした。2作目も従来型ではない視点で描きました」

Q.奥さんがいなくなったとき、夫はどう対応すべきでしょうか。

セネズ「オリヴィエのようにするしかないと思います。人とコミュニケーションを取り、人の話を聞くしかありません。彼は子どもとのコミュニケーションを学びますし、妻とはなし得なかったコミュニケーションも、同僚の女性とはできるようになりました」

Q.前作の「キーパー」や今作が各映画祭で評価されています。次回作も世界中が期待していると思いますが、プレッシャーは。

セネズ「感じ始めているというところでしょうか。前作にしろ今作にしろ、次につながればいいなと思いながら作っていました。現在3作目のシナリオを考え始めています。カンヌに出たりして注目されたところで、皆さんの期待が高まっているのは感じているので、失敗するわけにはいかないですね」

Q.ロマン・デュリスさんとの仕事はいかがでしたか。

セネズ「俳優に自由を与えるやり方を気に入ってくれました。彼は父親という役は初めてだったので、その部分を気に入ってくれました。仕事を始める前から、彼と仕事をすればたくさんのことを映画にもたらしてくれると思っていました。まさにその通りで、とてもうまくいきました」

Q.日本を舞台にするなら、どんな映画を撮りたいですか。

セネズ「今考えています。漠然としていることですが、日本で聞いて興味を持ったのは、離婚すると親権は母親にいくケースが多く、父親は子どもが18歳になるまで会えないことがあると聞いて驚きました。このテーマに興味はありますがまだ思いつきレベルです」

Q.映画監督やクリエイターになりたい人たちへ、アドバイスをお願いします。

セネズ「たくさん映画を見てください。クリエイターになるというのは、センスや才能の問題ではなく、信念を持ってずっと追い続ける、勉強し続けるという姿勢があるかどうかだと思います。うまくいかなくても諦めずに立ち上がり、自分の信じる道を行くかどうかだと思います」

 映画「パパは奮闘中!」は4月27日から全国公開。

(オトナンサー編集部)

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