【漫画】「席どうぞ」マタニティマークの女性に声をかけた女子高生 自身が妊娠して実感した“一言の重み”
インスタグラムで公開されているイラストレーターのゆいなさんの漫画が「妊娠や出産は『奇跡』ですよね」と話題に。そこで、作者に話を聞きました。

イラストレーターのゆいなさんの漫画「電車と私とマタニティマーク」(前・後編)が、インスタグラムで多くの「いいね」を集めて話題となっています。
高校生の頃、電車内でマタニティマークをつけた女性を見つけ、席を譲ることにした作者。その一件から「自分の行動が何かの役に立てばいいな」という思いで、電車で席に座ったときは彼女が乗ってこないかを気にするようになりました。
別日に再び彼女を見かけた作者は、また席を譲ろうと、声を掛けようとしたのですが…という内容で、読者からは「妊娠も出産も『奇跡』ですよね」「声掛けは勇気がいるけど、相手が喜んでくれると幸せ」「私も今日、席を譲りました」などの声が上がっています。
妊娠を経験して気付いた、声掛けの大切さ
ゆいなさんは、インスタグラムで作品を発表しています。ゆいなさんに作品について話を聞きました。
Q.今回、漫画「電車と私とマタニティマーク」を描いたきっかけを教えてください。
ゆいなさん「高校生時代に起こったこの一件は、元々エッセーとして描く気はありませんでした。というのも、妊娠出産の経験がない私が昔の出来事を描いたとしても、ただ『こんなことがありました』という何のメッセージ性もない、薄い内容にしかならないと思ったからです。
しかし子どもを授かり、自分自身がマタニティーマークを身につけて電車に乗る機会ができたことで、勇気を出して席を譲る声掛けをする側の気持ちも、掛けられる側の気持ちも理解できるようになりました。今ならあのときの出来事と自分の経験を通じて、実のある内容を表現したり、発信したりできると思ったんです」
Q.このときの電車内での出来事を、どのように感じていますか。
ゆいなさん「実際に身をもって『知る』ということが、いかに重要かを痛感しています。
妊娠経験のない人が、想像上でしかその大変さを考えることができないのは、ある意味仕方のないことだと思います。高校時代の私が持っていた妊娠に対する認識は、保健体育で学ぶ程度の知識しかありませんでした。
いざ自分が妊娠してみて、『大変』という言葉では足りないくらい、身も心も変化する日々に衝撃を受けました。つわりもそうですが、疲れやすさや、いつ体調が悪化するか分からない恐怖、ここで倒れたら周囲に迷惑を掛けてしまうという不安。そして何より、『おなかの子は今日も元気かな』『大丈夫かな』と祈るように過ごす日々ですり減る精神。妊娠しなければ知れないことばかりでした。
こうして身をもって知ったからこそ、あのとき勇気を出してお姉さんに声を掛けて本当によかったと思います。また、自分が声を掛けてもらう側になった今、その一言のありがたみ、そしてその一言を掛けてもらえることが当たり前ではないことを強く実感しています」
Q.この作品を通して、どのようなことを伝えたいですか。
ゆいなさん「『マタニティーマークをつけていたら、嫌なことを言われた』『マタニティーマークを見ると、配慮を強要されている感じがする』といった議論は、妊娠前から度々耳にしていました。自分自身、マタニティーマークをつけることを躊躇(ちゅうちょ)しましたが、幸いこれまで嫌な思いをすることはありませんでした。作品にも描かせてもらったように、温かい声掛けをしてもらうことも何度かありました。
ただ、マタニティーマークをつけていて感じたのは、電車で座っている人たちの多くは目をつぶっていたり、スマホに集中していたりして、周囲へのアンテナが低くなっているということです。『座席の前に立ったら寝たふりをされた』なんて話を聞いたことがありますが、もはや最初から寝ていて気が付くことすらないのが現状です。マタニティーマークに限らず、サポートや心遣いを必要としている人がいないか、電車の扉が開いたらちょっと顔を上げて見回してみる。そんな小さな行動で助けられる人もいるということを、今回のエッセーをきっかけに多くの人に知ってほしいと思っています」
Q.ご自身も妊娠され、その後の体調はいかがですか。
ゆいなさん「おかげさまで、先日元気な男の子を出産いたしました。現在は初めてのことばかりの育児に毎日翻弄(ほんろう)されていますが、妊娠中も出産時も大きなトラブルに見舞われることなく、無事に終えられたことに心からほっとしています」
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
ゆいなさん「約6年前、コロナ禍の外出自粛中に時間ができたことから、エッセー漫画を描き始めました。『12歳差の元夫との結婚から離婚まで』『ブラック企業勤めの話』『結婚相談所での婚活から再婚までの道のり』など、これまでの自分の人生に起こった出来事を中心としたエッセー漫画を描いて、主にインスタグラムやXに投稿しています」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
ゆいなさん「まだ描ききれていない婚活の裏話や、学生時代に受けたいじめの話、妊娠・出産・育児のことなど、描きたいことは山ほどあります。私のエッセーが、同じ悩みを抱えている人の助けになったり、何か1つのきっかけになったりすることを願って、これからも漫画を描き続けていきたいです」
Q.漫画「電車と私とマタニティマーク」について、どのようなコメントが寄せられていますか。
ゆいなさん「ありがたいことにたくさんの反響と温かい言葉をいただきました。中でも印象的だったのは、『今日、妊婦さんに席を譲りました』というコメントです。声を掛けることは簡単なことのようで難しいと思います。『この方は勇気を出して声を掛けたのかな』『声を掛けられた妊婦さんはホッとしただろうな』などとその場面を想像しては、自分のことのようにうれしい気持ちになりました」
(オトナンサー編集部)















コメント