「コレステロール」「血糖値」が高くても献血できる? 献血NGの病気は? 日本赤十字社に聞く
健康診断でコレステロール値や血糖値が高いと指摘された人でも、献血することはできるのでしょうか。日本赤十字社に聞きました。
駅前や商業施設などで、献血が呼び掛けられているのを見掛ける人も多いと思います。日本赤十字社(東京都港区)によると、献血を通じて提供された血液は、病気の治療や手術に必要な「血液製剤(人の血液を原料とする薬)」などの製造に使われます。ところで、健康診断などでコレステロール値や血糖値が高いと指摘された場合、献血することはできるのでしょうか。日本赤十字社血液事業本部の担当者に聞きました。
糖尿病でも献血可能なケースも
Q.献血を受け付ける際の基準について、教えてください。過去に発症した病気の種類によっては、献血を受け付けないケースもあるのでしょうか。
担当者「献血には、血液中のすべての成分を献血する『全血献血』と、血小板や血漿(けっしょう)といった特定の成分だけを採血する『成分献血』があります。
献血方法別に対象年齢や体重のほか、献血前の血圧・脈拍や、献血前に行う血液検査の血色素量(ヘモグロビン量)、血小板数(血小板成分献血のみ測定)の数値、過去の献血履歴などが基準として定められており、基準に満たない場合は献血にご協力いただけません。また、問診票の記載項目(薬の服用状況や過去にかかった病気など)に該当がある場合は、その項目に応じて、医師が服薬内容や既往歴などを確認し、献血の可否を判断します。
例えば、糖尿病や高血圧症に関しては、次のような条件を設けています。
・糖尿病
(1)インスリンを注射している人や糖尿病治療薬を服用している人、糖尿病性の合併症のある人からは採血しない
(2)食事・運動療法のみの場合で、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害などを合併していなければ採血してよい
・高血圧症
降圧剤を服薬中でも、合併症がなく血圧がほぼコントロールされていれば、献血が可能。ただし、血圧の献血基準を満たす必要がある
次のような病気にかかったことがある場合、治癒してから一定期間献血をご遠慮いただく、あるいは今後の献血をご遠慮いただくこともあります。
(1)採血により、症状が悪化する恐れのある循環器系疾患(心臓病など)
(2)血友病(血液が固まりにくく、出血が止まりにくくなる病気)などの血液疾患
(3)輸血により、患者に深刻な状況をもたらす可能性のある各種感染症(梅毒など)」
Q.健康診断などでコレステロール値や血糖値などが高いと指摘された場合、献血には適していないのでしょうか。
担当者「献血前の血液検査で測定するのは、先述のように血色素量(ヘモグロビン量)、血小板数(血小板成分献血のみ測定)で、コレステロール値や血糖値は検査項目に該当しないため、基本的にご協力いただくことが可能です。ただ、献血前の問診時に疾患などが疑われる場合は、医師の判断により献血をご遠慮いただく場合もあります。
なお、以前も献血にご協力いただいた場合、献血時の検査結果によっては、血液を輸血用血液製剤などに使用できないこともあるため、医師が必要に応じて前回からの献血間隔などを確認の上、当日の献血をご遠慮いただく場合があります」
Q.献血によって集められた血液が、血液製剤の製造に使われる際の基準について、教えてください。献血で提供した血液が、血液製剤などに実際に使われたかどうかを確認することは可能なのでしょうか。
担当者「献血で提供いただいた血液(献血血液)は、感染症検査、核酸増幅検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズウイルス(HIV)などの有無を調べる検査)、血液型検査、血球計数検査などを実施し、安全性を確認してから医療機関に供給されます。肝臓に多く含まれる酵素『ALT(GPT)』の値が101IU/L以上の場合、ウイルス性肝炎で高値となることがあるため、血液製剤としては使用しないことにしています。
なお、血液が血液製剤などに使用されたかどうかについては、献血者から問い合わせがあってもお答えしていません」
献血後はしっかり休憩を
Q.献血後の注意点について、教えてください。献血後、軽い運動や入浴は可能なのでしょうか。
担当者「献血当日は、献血後の副作用の予防のために、次のことをお願いしています。
・休憩を取ってから帰宅すること
献血後少なくとも10分以上休憩してから、お帰りください。特に乗り物を運転する場合は、事前に30分以上の休憩を取ってください
・水分をしっかり補給する
献血会場内で水分(200ミリリットル以上)を補給し、会場を出てからもスポーツドリンクやお茶などで十分な水分補給に努めてください
・排尿時の姿勢
採血直後の排尿は失神を起こすことがあるので、座った状態で行ってください
・階段、エレベーターでの移動
階段やエレベーターで移動する際は、できるだけ手すりにつかまってください
・入浴
献血後2時間以内の入浴と当日のサウナは避けてください
・飲酒、喫煙
献血直後は避けてください
・スポーツ
水泳、マラソンなど激しいスポーツは避けてください
・重労働
採血側の腕に強い力がかからないようにしてください
献血してから2時間後の入浴や軽い運動は問題ありませんが、少しでも体調に異変を感じた場合は、避けていただきたいと思います。また、献血後、『腕が痛い』『体調がよくない』など、何らかの不安を感じる場合、献血にご協力いただいた都道府県の血液センターまでご連絡いただくようお願いしています」
(オトナンサー編集部)
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