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白石麻衣写真集が異例の大ヒット その裏で激化する「写真」をめぐる争いとは

乃木坂46・白石麻衣さんの写真集が18度目の重版を行うなど、異例のロングヒットを記録しています。白石さんをはじめとするアイドルが“写真”の世界に進出したことにより、シェア争いは三つ巴の様相です。

白石麻衣さん
白石麻衣さん

 先日、乃木坂46・白石麻衣さんの写真集「パスポート」が18度目の重版を行い、累計29万部になったことが発表されました。「タレントの写真集は発売直後が勝負。3カ月が限界」と言われる中、「昨年2月の発売から14カ月を過ぎてなお売れている」という異例のロングヒットに、業界内外から改めて驚きの声が上がっています。

 白石さんの写真集は、なぜこれほど売れているのか。その理由を考えるほど、タレントの写真をめぐる激しいシェア争いが見えてきます。

写真を見せる機会が多く、ファン層も広い

 白石さんと言えば、みなさんが知る通り、グループアイドル界の先頭を走る乃木坂46の中心メンバー。トップグループの中のトップメンバーとして、さまざまな雑誌のグラビアに出演してきました。

 白石さんがすごいのは、「乃木坂46における美の象徴」と称される美ぼうで女性からの支持も厚いこと。同グループの先頭を切ってファッション誌「Ray」の専属モデルとなり、今春の卒業まで約5年にわたって活躍しました。

 ここで注目してほしいのは、「グループアイドルとしてグラビアに出演する白石さん」と「モデルとしてグラビアに出演する白石さん」の両方がいること。2つの顔があるわけですから、他のタレントよりも露出量が多く、ファン層も広く、写真集が売れるのも納得なのです。

 芸能界には、白石さんに引けを取らない美人がいますし、白石さんのように内面も愛されている人もいますが、ここまで写真集が売れることはなかなかありません。これは白石さんが、「日ごろ多くの人々に写真を見てもらう機会が多い」という背景があり、「それらの特別版にあたる写真集なら買ってみよう」というライト層のファンをつかんだことが大きかったのではないでしょうか。

 しかし、その成功を複雑な思いで見ている女性タレントは少なくありません。白石さんが写真集の売り上げを伸ばし、そのたびに多くのグラビアや表紙に再登場するほど、悔しい思いをしている人たちがいるのです。

“モグラ”の躍進と“グラドル”の巻き返し

 写真をめぐる主なビジネスは、写真集(デジタル含む)、グラビア、表紙の3つ。長年、これらにおける争いが繰り返されてきましたが、近年はますます激化しています。

 2000年代中盤以降、AKB48グループが躍進したことで、これら3つはグループアイドルの独占状態になりました。水着姿が武器のグラビアアイドルたちは雑誌グラビアを奪われただけでなく、露出減で写真集やDVDも売れず、テレビ出演なども減ってしまったのです。

 そんな“グループアイドル1強”の時代に食い込んできたのが、モグラ(モデル+グラビアの両方で活躍するタレントの造語)。泉里香さん、馬場ふみかさん、久松郁実さん、鈴木友菜さん、松川菜々花さんらが、グループアイドルにはない洗練された美しさを押し出してシェアを奪い、現在ではモグラというジャンルが完全に定着しました。

 しかし、昨年あたりから突如として、グラビアアイドルが巻き返しを見せているのです。すい星のごとく現れた小倉遥さん、わちみなみさん、RaMuさん、園都さん、澤北るなさん、華村あすかさんらの武器は、グループアイドルやモグラにはないグラマラスボディー。

 そこに、元AKB48の平嶋夏海さん、元Dream5の大原優乃さんら元グループアイドルも、このカテゴリーに入り、さらに磯山さやかさんや杉原杏璃さんらレジェンド的なポジションの人も含めて、グラビアアイドルの盛り返しに貢献しています。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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