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“虚無蔵”松重豊が放つ存在感 「孤独のグルメ」にも通ずる“虚無”の極意とは

かわいいおじさん?

 どんな役もといえば、おととしの「きょうの猫村さん」(テレビ東京系)も印象的。着ぐるみ姿で猫になりきりました。また、映画化もされた「バイプレイヤーズ」シリーズ(テレビ東京系)では、6人中唯一「家事」ができることから「お母さん」っぽい役回りに。こうした“かわいいおじさん”というイメージも、ここ数年のブレークにつながっていそうです。

 4月スタートの火曜ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(TBS系)では、ヒロインの父親役で登場。娘とともに、婚活をする物語ということで、ここでも“かわいいおじさん”ぶりが見られることでしょう。

 謙虚にして無心という「虚無」に徹して、役を取り込み、味を出す松重さん。還暦を目前にして、最も勢いを感じさせる役者の一人から目が離せません。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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