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いま最も忙しい俳優? 引っ張りだこの遠藤憲一、オファーが絶えない理由とは

テレビ東京系連続ドラマ「ユーチューバーに娘はやらん!」で存在感を発揮し、近年は多くの作品で起用が相次ぐ遠藤憲一さん。その魅力に筆者が迫ります。

遠藤憲一さん(2018年4月、時事通信フォト)
遠藤憲一さん(2018年4月、時事通信フォト)

 昨年末、50歳の長谷川雅紀さんと43歳の渡辺隆さんによるお笑いコンビ・錦鯉がM-1グランプリで優勝したことで、世間は空前の“おじさんブーム”。年齢を言い訳にせず、何かに一生懸命な年配の男性に「かわいい!」と胸キュンする女性も多いようです。

 そんな“かわいいおじさん”の代表格として絶大な支持を得ているのが、佐々木希さんが主演を務めるドラマ「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系)に出演中の俳優・遠藤憲一さん。一見、こわもてで“かわいい”とは遠い存在に思える遠藤さんが、若い女性から熱い視線を向けられている理由とは。

47歳で連ドラ初主演

 遠藤さんといえば、182センチの長身と鋭い眼力を生かし、Vシネマを中心に悪役として活躍していた俳優の一人。「遅咲きの名優」と言われるように、47歳のときに「湯けむりスナイパー」(テレビ東京系)で連ドラ初主演を果たしました。

 このときに遠藤さんが演じたのは、秘境の温泉宿で働く元殺し屋で、それまでのイメージを反映した役どころでしたが、同年放送された「白い春」(関西テレビ・フジテレビ系)では一転、愛した女性の遺児を引き取り、実子として育てる、気は小さいけど善良な男性役に。その好演ぶりが視聴者の心を打ち、遠藤さんの存在は瞬く間に広まったのです。

 以降、「こわもてだけど、実は…」というギャップを売りにした役柄が増加した遠藤さん。近年では「お義父さんと呼ばせて」(同)で28歳年下の交際相手の父親に結婚の許しをもらうために奮闘する中年男性や、「私のおじさん~WATAOJI~」(テレビ朝日系)で主人公の前に現れ、お説教やアドバイスをする“妖精”を演じるなど、Vシネマ時代からは想像もできない、遠藤さんのコミカルな姿に夢中になる人が続出しています。

 自身のインスタグラムには、シュールなダンスを踊る動画や、遠藤さんのモノマネで知られるお笑い芸人・ねんねんさんと共演した際に「ねんねんくん、やっと会えたね。これからもよろしくね」とコメントを投稿するなど、プライベートでの親しみやすいキャラクターも幅広い世代から愛される、ゆえんとなっています。

 そんな遠藤さんは昨年に還暦を迎えましたが、改めて年齢を感じさせない体当たりの演技に注目が集まっています。特に大きな話題となったのが、昨年末に放送されたスペシャルドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」(フジテレビ系)での“お風呂コント”。

 いかりや長介さん役を演じた遠藤さんの、そっくり具合もさることながら、銭湯で他のメンバーから雑に全身を洗われ、2度も湯船に沈められる体を張った演技は「本当に大丈夫?」と心配になるほど。

 さらに、現在放送中の「ユーチューバーに娘はやらん!」では、結婚式当日に新郎に逃げられた新婦の父親役を演じていますが、第1話の披露宴のシーンでは全力でビートたけしさんのモノマネを披露するなど、遠藤さんのサービス精神に拍車がかかります。

“かわいい”と“かわいそう”は表裏一体。本人はあくまでも、楽しんでやっているのにどこか哀愁が漂い、ちょっと笑うのも申し訳ないようなところが、遠藤さんの“かわいさ”なのかもしれません。

 しかし、シリアスな場面になると途端に顔つきが変わり、その場の空気をピリッとさせるのが遠藤さんの実力。「ミステリと言う勿れ」(同)の第1話では、妻と子供をひき逃げで亡くし、復讐(ふくしゅう)のために殺人を犯す警察官・薮鑑造を演じ、当初、容疑者として挙げられていた主人公から、家庭をおろそかにしてきた過去を指摘されて、感情を爆発させるシーンが涙を誘いました。

 その瞬間、大きな体がとても小さく感じられたように、遠藤さんの演技は、その人物の内面に宿る本質を、時にシリアスに、また時にはコミカルに放出していきます。役として翻弄(ほんろう)されているようで、実は視聴者を翻弄しているところが名優・遠藤憲一の恐ろしい魅力なのです。

(ライター 苫とり子)

苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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