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「ダイエットで納豆腐を食べ続けたら、腸内が全部納豆菌と診断された…」投稿が話題に、ほどほどが大事?

ダイエットで納豆腐を4日間食べたら、腹痛や嘔吐などの症状が出て病院に行った、との投稿が話題に。「食事はバランスが大切と思い知った」そうですが、納豆腐ダイエットも“ほどほど”が大事なのでしょうか。

腸の中が全部「納豆菌」に…?

 豆腐に納豆を合わせた「納豆腐」を食べるダイエットを4日間にわたって行ったところ、腹痛と嘔吐(おうと)に襲われ病院へ行った、との投稿がSNS上で話題になっています。医師からは「納豆菌が増えすぎて腸が動いていない」「腸内の菌が全部納豆菌になってます」と診断されたといい「やはり食事はバランスが大切だと思い知りました」と反省。これについて「衝撃」「毎朝納豆腐食べてるから注意しよう」「健康に良い納豆も摂り過ぎはダメなんだね」などの反応が見られます。

多様な腸内細菌を育てたほうが…

「腸内細菌として納豆菌がいるかどうかは、最先端のゲノム解析検査により調べますので、扱っている医療機関はまだ限られており、健康保険の適用外なので実費検査。また、検査結果が出るまで日数もかかります。医師でない者がコメントするのははばかられますが、腸内が全部納豆菌というのは『たとえ』でおっしゃったのではないでしょうか」

 こう話すのは管理栄養士の麻生れいみさんです。麻生さんによると、ダイエットのことを考えるのであれば、偏った食事よりもさまざまな食材を摂取して栄養を腸内細菌に送り、多様な種類の腸内細菌を育てるという考え方がベターだといいます。

「たとえば、食物繊維は便通を改善するだけでなく、腸内細菌が食物繊維を分解してできる短鎖脂肪酸が、宿主である私たちの肥満を抑制することがわかってきました。腸内細菌に関しては、さまざまなことが分かり始めたばかりですが、アフリカ原住民の子どもの腸内細菌とイタリア人の子どものそれとを比較すると、前者は多様な細菌種から成っており『病原菌への抵抗力を高める』『食物アレルギーを防ぐ』などの効果があるようです」

 また、ダイエットで減らしたい「脂肪」をエネルギーに変えるには「L−カルニチン」という“運搬係”のような働きをする物質が必要で、その合成にはビタミンCやビタミンB6、鉄、ナイアシンなどの栄養素が必要になります。

「納豆と豆腐だけでは、栄養が偏ってしまいます。納豆や豆腐は大量に食べない限り体への心配はありませんが、栄養バランスを考えると、同じ食品を毎日大量に摂取することはオススメできません。『納豆腐』は1日1食に限定するなどして、さまざまな食材からほかの栄養素を摂取し、燃やす体を作りたいものです」

 とはいえ、納豆菌は腸内環境を整え、納豆のネバネバ部分に含まれるたんぱく質分解酵素ナットウキナーゼは動脈硬化予防に効果があるほか、納豆には、たんぱく質やカリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄分、食物繊維、ビタミンE、ビタミンK、イソフラボン、サポニンなど現代人に不足しがちな栄養素がたくさん。特に、脂質をエネルギーに変えるビタミンB2や、たんぱく質をエネルギーに変えるビタミンB6も含まれており、ダイエットにひと役買ってくれることは間違いありません。

(オトナンサー編集部)

麻生れいみ(あそう・れいみ)

管理栄養士

大手企業の特定保健指導・栄養相談を務める傍ら、病院の臨床研究において栄養療法を監修。医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく料理研究を行う。ダイエット指導においては、自らもやせた経験を基に、これまでに約6000人以上を指導。日本病態栄養学会会員、日本抗加齢医学会会員、食育栄養インストラクター。近著に「免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ」。公式ブログ(https://ameblo.jp/reimi-aso/)。

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