森昌子引退、ラストコンサートで見せた表情 今後は「何もしないことをする」
12月25日、歌手の森昌子さんが引退。筆者はコンサート会場で、本人と貴重な会話を交わすことができました。

2019年12月25日、歌手の森昌子さんが引退しました。1972年、13歳でデビューしてから47年です。歌手としては紅白に連続出場、紅組司会にトリも務めた大御所であり、最近は、ものまねや爆笑を呼ぶ発言でバラエティー番組に引っ張りだこでした。
「こんなに仕事が順調なのに、なぜ今?」と思いますが、“だからこそ”だったのかもしれません。聞くと、理由は昨年秋に還暦を迎えたことが大きいといいます。60歳になり、これまでの人生を振り返ると、デビューした頃は家族のため、結婚してからは夫のため、子どものためを一番に考えて生きてきたので、自分の時間を意識することがあまりなかったことに気付いたそうです。
今回のツアーは1年2カ月で130カ所以上、47都道府県を回るどころか3周くらいしています。恐らく、公演も250回は超えているのではないでしょうか。これはどう見ても、歌手の中でトップの数だと思います。それに加え、番組収録やレコーディング…と自分の時間どころではありません。
事務所と交渉するも気持ちは変わらず
そこからは事務所との交渉です。休業はどうか、仕事を少なくしようなどと幾度もやりとりが続きましたが、一度決めたら頑固な性格、気持ちが変わることはありませんでした。
コンサートは2部構成で、1部は歌でつづる爆笑コント。昌子さんの親戚を名乗る小学2年生の「ま~ちゃん」が毒舌でお客さんを巻き込みながらステージを盛り上げます。
ここでは、昭和の歌を少しずつ披露していくのですが、八代亜紀さんをはじめ、何を歌ってもその歌手の特徴をよくつかんでいてお見事の一言。中でも、仲間由紀恵さんのものまねは秀逸です。昌子さんは「スター誕生」の第1回優勝者としては有名ですが、実は、「オールスターものまね王座決定戦」の第1回王座も制した、ものまねの実力者なのです。
最終日は、各媒体から取材オファーがあったそうですがすべてお断り。本人いわく「2度目の引退だから恥ずかしい、静かに去りたい」とのことでした。そんな中、最後の姿を見届けようとコンサートを見に行くと、運良く本人にお会いすることができたのです。
「お疲れさまでした」と声を掛けると、無言でギューッと抱きしめてくれました。「疲れた」と笑っていましたが、その顔はとてもスッキリしていて、要らないものがすべてそぎ落とされたような、すがすがしい顔でした。貴重なやりとりをお届けします。
「悔いはないんですね」「ない」。迷いはありませんでした。
「今後はどうするんですか」と聞くと、「何もしないことをする」。今まで、いろいろなことをしすぎました。まずは「何もしない」をしてみたいのだそうです。
お正月は、今まで料理の時間もなかなか取れなかったので、久しぶりにおせちを作る予定だそうです。87歳になるお母さんと一緒に温泉旅行も考えているようですし、今回、コンサート会場には初めて、長男のONE OK ROCK Takaさんから「息子より」と書かれたお花が届いていました。
これからは、ゆっくりと自分のための人生を生きてほしいです。本当にお疲れさまでした。
(芸能リポーター 島田薫)
コメント