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芦田愛菜が「子役は大成しない」ジンクスを覆して、期待に応え続けられる理由

“座右の銘”は王貞治さんの言葉

 そんな彼女が座右の銘の一つにしているのが、今年5月に放送された「1億人の大質問!? 笑ってコラえて!」(日本テレビ系)で紹介されたこの言葉です。

「努力は必ず報われる もし報われない努力があるのならば それはまだ努力と呼べない」

 王貞治さんの言葉で、彼女は10歳のときに知ったそうです。確かに、こういう言葉を好きになる人は一定数いるでしょうが、ほどよく実践できる人はごく少数なのでは。できなくて諦めるか、無理にやり過ぎてしまう人が大半だと思われます。

 しかし、彼女の公私にわたる成果からは、かなりうまく取り入れていることがうかがえます。これは、彼女が何より自分自身のバランスを大事に考える真の聡明(そうめい)さを備えているからでしょう。

 ちなみに、王さんは最初に国民栄誉賞を受賞した人。というより、彼が通算本塁打の世界記録を作った際、その偉業を表彰するために当時の政府が創設したのがこの賞です。

 その定義は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」というもので、女性では美空ひばりさんが初の受賞者となりました。

 幼い頃から、時代に寄り添うように活躍した人ですが、芦田さんのデビューは美空さんよりもさらに早く、また、国民的と形容される行事にも既に何度も関わっています。特に、今回の祝辞披露は節目節目に末永く思い起こされることでしょう。

 なお、芦田さんは医師になりたいとも言っています。「漫画の神様」こと手塚治虫さんも医師免許を持っていましたが、彼女なら女優と医師の二足のわらじを履くこともありえそうです。

 とまあ、歴史上の偉人と並べて語っても違和感のない15歳。私たちは今、ちょっとした“奇跡”を目の当たりにしているのかもしれません。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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