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ジュリエット・ビノシュが語る 是枝裕和監督、カトリーヌ・ドヌーブ、そして20年後

是枝裕和監督の最新映画「真実」に出演した仏女優ジュリエット・ビノシュさんに、是枝監督との仕事や20年後の仕事などについて聞きました。

ジュリエット・ビノシュさん
ジュリエット・ビノシュさん

 是枝裕和監督の最新映画「真実」に出演した仏女優ジュリエット・ビノシュさん。同作は、世界中で知られる大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブさん)が自伝本「真実」を出版し、ファビエンヌの娘で脚本家のリュミール(ビノシュさん)は米国から、夫で俳優のハンク(イーサン・ホークさん)と出版祝いに訪れます。しかし、そこにはうそが書かれており、自伝をきっかけに母と娘の愛憎渦巻く真実が明らかになっていく…日本人監督作品として初めて、ベネチア国際映画祭オープニングで上映された映画です。

 オトナンサー編集部では、ビノシュさんにインタビューを実施。是枝監督との仕事やプロットから脚本への変更点、20年後の仕事などについて聞きました。

演技を忘れて、自然に役を生きること

Q.是枝監督との仕事はいかがでしたか。「前日に台本を書き加えて、翌日渡すのはやめて」などと要望を出されたそうですが。

ビノシュさん(以下敬称略)「小さな変更ならいいのですが、大幅なものは困りますね。大きな変更があると、変更点にとらわれて演技に集中できなくなります。私のモットーは演技を忘れ、自然にその役を生きることです。

セリフを多く変えられてしまうと、『間違えないようにうまく演じないと』という状態になってしまって、俳優がきちんと役を生きることにはなりません。しかし、脚本家としての是枝監督の『最後まで良いものにしたい』という欲求は理解できたので、都度相談しながら撮影していきました」

Q.脚本のプロットから完成版で大きな変化はありましたか。

ビノシュ「是枝監督はずっと脚本を書き続け、撮影中にも書かれていました。ある日、『シーンが見つかった』と言いながら現場に現れ、子どものように喜んでいられたのをよく覚えています。

それは、リュミールが脚本家であることを生かした最後の展開なのですが、そのシーンが表しているのは、脚本家がすべてを操る魔法使いだということです。脚本家でもある是枝監督がフォーカスされているんだと思いました。撮影しているとき、このシーンの重要性に気付けなかったのですが、映画を見て重要さに気が付きました」

Q.是枝監督から、どんなことを求められていると思いましたか。

ビノシュ「それは私も自問自答していて、是枝監督に質問すると驚かれました。是枝監督は『君がどのように仕事をするのか観察して学びたいんだ』とおっしゃっていました」

Q.カトリーヌ・ドヌーブさんと初共演を果たしていかがでしたか。

ビノシュ「とても幸せでした。最初の頃、彼女は周りの人と距離を置いて身を守っていたので、私から挑発するように距離を詰めていきました。フランス語の二人称は親しい人に使う『ジュ』と、距離のある相手に使う『ブ』がありますが、彼女は『ブ』を使い、私は『ジュ』を使っていました。彼女はかなりのスモーカーなので、私もやめていたタバコを復活させて一緒に吸ったりもしましたね。最終的には楽しく共演できました」

Q.リュミールとハンクは夫婦ですが、かなり違うタイプです。恋愛において、相手と違うタイプの方がうまくいくと思いますか。

ビノシュ「似た者同士のカップルは存在しないのではないでしょうか。人間は一人一人、違うものです。何かしらの感情や同じ経験をすることで変わっていき、似ていくということはあるかもしれません。出会ったときは違う人として存在していると思います」

Q.20年後、ファビエンヌのような欧州を代表する大女優になられていると思います。

ビノシュ「そこまで生きられると誰が言い切れましょうか(笑)それは断言できません。『真実』の後に2本立て続けに撮影したので、今は何もしたくありません。でも、それは私にとって難しいことです。常に忙しく仕事をする習慣のある人は、何もしない状態にはなれないです。ただ、目標を持たない、何もしない時間も、ときには必要だとは思いますが」

Q.仕事を頑張る方々にメッセージをお願いします。

ビノシュ「成功するには、自分の信じた道を行き、地に足をつけてきちんと努力することだと思います。努力することで他人に何かを与え、社会に参加することができると思います。それが自分の家を造る最初の石を積む行為になると思います。

自分の道を信じること、そして、辛抱強くきちんと仕事することが重要で、結果はすぐに出ないかもしれませんが、自分の直感を信じることが大切です。周りの人や家族の望むものと違っても、自分自身を信じることが必要だと思います」

 映画「真実」は全国公開中。

(オトナンサー編集部)

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