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「ボイス」「サイン」「TWO WEEKS」 今夏“韓国ドラマリメーク”作品が増えた理由

今年の夏ドラマには「ボイス 110緊急指令室」「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」「TWO WEEKS」の韓国ドラマリメーク3作品が名を連ねました。活況の背景には何があるのでしょうか。

(左から)唐沢寿明さん(2017年2月、時事通信フォト)、大森南朋さん(2016年6月、同)、三浦春馬さん(2017年1月、同)
(左から)唐沢寿明さん(2017年2月、時事通信フォト)、大森南朋さん(2016年6月、同)、三浦春馬さん(2017年1月、同)

 7月スタートの夏の連続ドラマには、唐沢寿明さん主演の日本テレビ系「ボイス 110緊急指令室」(毎週土曜 後10:00)、大森南朋さん主演のテレビ朝日系「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」(毎週木曜 後9:00)、三浦春馬さん主演のフジテレビ・関西テレビ系「TWO WEEKS」(毎週火曜 後9:00、7月16日スタート)と、韓国ドラマリメークの3作品が名を連ねています。

 韓国ドラマのリメークが増える一方、オリジナル脚本は減少傾向ですが、この背景とは、どのようなものでしょうか。コラムニスト・テレビ解説者の木村隆志さんに聞きました。

オリジナル脚本“逆境”の時代

「ボイス」は敏腕刑事とボイスプロファイラー(声紋分析官)の活躍と復讐劇を描くサスペンス、「サイン」は真実を隠ぺいする権力に法医学者が立ち向かう法医学サスペンス、「TWO WEEKS」は殺人のぬれぎぬを着せられた男が、白血病の娘を救うために挑む、さまざまな陰謀からの逃亡劇を描きます。

 こうした韓国ドラマのリメークが増えている背景とは、どのようなものでしょうか。

 木村さんによると、「現代の日本人はテレビをじっくり見る習慣がなくなり、複雑なストーリーが好まれない」といいます。

「序盤から中盤にかけて種をまき、終盤に盛り上げるのがドラマのセオリーです。日本にはオリジナルが書ける脚本家はたくさんいますが、序盤から数字(視聴率)を取る必要があるので、プロデューサーもシンプルで分かりやすいものを選びがちになっています。

そうした傾向を避けて、舞台や映画の脚本を優先させる脚本家もいますし、坂元裕二さんや野島伸司さんら大御所も地上波ドラマの脚本を休んでいます。数字との折り合いをつけながら、描きたいものを描くことが以前よりも難しくなっているのでしょう」

 こうした、オリジナル脚本の“逆境”を背景に、漫画などの実写ドラマ化や韓国ドラマのリメークが増加。近年では、TBS系「ごめん、愛してる」(2017年)や関西テレビ・フジテレビ系「シグナル 長期未解決事件捜査班」(2018年)、フジテレビ系「グッド・ドクター」(2018年)などが放送され、今夏は3作品もそろう異例の状況です。

「韓国ドラマは、巨悪や権力への対立など物語の軸が単純で、分かりやすさ重視のシンプルな展開が多く、視聴者を感動させることに徹しています。韓国ドラマに刑事ドラマや医療ドラマが多いのは、命をめぐるドラマチックなストーリーに仕立てやすいからです」

ネット上では“茶番劇”と批判も

 一方で、木村さんは、韓国ドラマにも“弱み”があると指摘します。

「ドラマチックな結末から逆算して物語を組み立てていくので、制作サイドにとって都合のいい展開が多く、冷静に見るとリアリティーが感じられない内容になりがちです。人間の本質や業の深さを描こうとしてはいますが、ネット上には“安っぽい茶番劇”と感じる人の声も少なくありません」

「韓国ドラマは熱心なファンがいるので、『作品のイメージが違う』と反感を買いやすいのもリスクの一つ。また『韓流』というだけでバッシングのコメントをする層もいるため、ヒット作が生まれにくいという一面もあります」

 この夏、韓国ドラマリメーク3作の展開が注目されます。

(オトナンサー編集部)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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