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長丁場ドラマの救世主? 朝ドラ「なつぞら」序盤を引っ張る草刈正雄

未熟な序盤の主人公をアシスト

 近年の視聴者は年齢を問わず、分かりやすくテンポのいいストーリー展開を好み、朝ドラや大河ドラマのような長丁場の作品でも、早々にクライマックス級のシーンを求めるようになりました。

 しかし、制作サイドにとって、長丁場の作品で、序盤からクライマックス級のシーンを手掛けるのは至難の業。朝ドラや大河ドラマは、主人公の長い年月を描くため、序盤の段階では「未熟で魅力に欠ける」という人物設定であることが多く、盛り上げるのが難しいのです。

 実際、「真田丸」の主人公・真田信繁も序盤は未熟でしたが、草刈さん演じる父・昌幸の背中を見て成長し、中盤以降の活躍につなげました。朝ドラや大河ドラマなどの長丁場では、「成熟し魅力あふれる」中盤以降の主人公を形成するためのアシスト役が必要であり、それを草刈さんが見事に演じたのです。

「なつぞら」も同様に、草刈さんは序盤の「未熟で魅力に欠ける」なつを成長させる役割を担当。だから、草刈さんの演じる泰樹は、魅力であふれていて当然なのです。もちろん、草刈さんの役割は誰にでもできるものではなく、全身から醸し出す人間的な魅力や、底知れぬ迫力を感じさせることが必要。「セリフに頼らず佇まいで魅せる」という意味では、演技力以上に存在感の大きさが重要であり、それが草刈さんにはあるため視聴者を魅了できるのでしょう。

 来月には、東京へ向かう、なつとの切ない別れが描かれる予定で、そこでも草刈さんは名シーンを見せてくれるはずです。そのとき、「泰樹ロス」「草刈ロス」の声が飛び交うのは間違いありません。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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