昨秋2作、今冬3作…いま「弁護士ドラマ」が急増しているワケ
好感度アップ確実の「演じたい」職業
弁護士ドラマが増えている2つ目の理由は、主人公が魅力的に見え、視聴者にとってのヒーローになりやすく、俳優にもメリットが大きいこと。
たとえば、「QUEEN」の主人公は女性依頼者を、「イノセンス」の主人公は無実の罪を着せられた人を救うために困難なミッションに挑む姿が共感を呼び、最後は勝利を得てカッコよさを感じさせます。主人公を演じる俳優本人のイメージアップにもつながりやすく、芸能事務所としては「ぜひやらせたい」役柄なのです。
さらに、弁護士は「幅広い年代の俳優が演じられる職業」であることもポイントの一つ。
前述した弁護士ドラマの主演俳優を見ると、20代の坂口健太郎さん(27歳)と神木隆之介さん(放送当時24歳)、30代の竹内結子さん(38歳)と松本潤さん(放送当時34歳)、40代の常盤貴子さん(46歳)と米倉涼子さん(43歳)、50代の織田裕二さん(放送当時50歳)。
刑事や医師よりも、「若すぎる」「貫録がありすぎる」などと思われるリスクが少なく、制作サイドにとってはキャスティングしやすい職業と言えます。
また、常盤さん、竹内さん、坂口さんが演じる主人公に加えて、仲間の弁護士やパラリーガルを含めたチーム戦も弁護士ドラマの醍醐味(だいごみ)。「弱者を救うために一致団結して戦う」という展開はエンタメ性が高く、視聴者の感動に直結します。
「グッドワイフ」は法廷で活躍するママさん弁護士、「QUEEN」は情報操作で社会を動かすスピン・ドクター、「イノセンス」は実証実験で冤罪(えんざい)を晴らす若き弁護士と、三者三様だけに、好みの作品を探してみてはいかがでしょうか。
(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)
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