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「今日から俺は!!」が視聴率以上に“すごくて深い”3つの理由

脚本・演出を手掛ける福田雄一の熱さ

 そんな俳優たちのアドリブを引き出しているのは、脚本・演出を手掛ける福田雄一さん。

 福田さんの脚本・演出は、橋本環奈さんが「無茶振りに関しては天下一」と話すような「アドリブを繰り返し求める」だけではありません。「セリフをかんでも、つまづいてコケてもNGにしない」「台本のくだりが終わっても、すぐにカットをかけない」「セリフやアクションなどの間は俳優に任せてみる」「小道具やオープニングのディテールにも徹底してこだわる」などの超個性的な制作スタンスで知られています。

 さらに特筆すべきは、福田さんのマンパワーと熱さ。現在プライムタイム(午後7~11時)の連ドラは「脚本も演出も2~3人で分担する」のが既定路線ですが、福田さんは「全話の脚本と大半の演出を手掛ける」という離れ業を見せています。つまり、「福田さん1人で3~5人分の仕事をこなしている」ということ。すごくて深い2つ目の理由は、福田雄一さんそのものです。

 そんな「福田さんの作品に参加したい」という俳優は多く、とりわけ若手にとって“福田組”は憧れの対象。「今日から俺は!!」に週替わりゲストとして出演した小栗旬さん、柳楽優弥さん、中村倫也さん、山田孝之さんらの顔ぶれが、福田さんのカリスマ性を物語っています。

 今作でも、賀来賢人さん、伊藤健太郎さん、太賀さん、矢本悠馬さん、鈴木伸之さん、磯村勇斗さんら、多くの若手俳優が出演。笑いと熱さあふれる福田さんならではの撮影現場を経験し、さらなる飛躍を遂げようとしています。

古いモチーフなのに「新しい」「面白い」

「今日から俺は!!」が異例のヒットと言われているのは、原作が1988~1990年に連載されていたツッパリ漫画であり、ドラマ版の舞台も80年代であるなど、「なぜ今これを?」「この原作と設定で大丈夫?」という疑念を抱かせていたから。累計発行部数4000万部の人気漫画とはいえ、約30年前の作品であり、しかも、ツッパリと80年代という舞台設定が受け入れられるとは思われていなかったのです。

 その意味で、すごくて深い3つ目の理由は、「古いモチーフを使っているにもかかわらず幅広い年齢層から支持を集めている」こと。古さは原作漫画だけでなく、制服やインテリアなどの小道具、主題歌の「男の勲章」にも表れていますが、それらがドンピシャ世代の30~40代のほか、小学生など子どもにも「新しい」「面白い」とウケているのです。

「今日から俺は!!」を「ただのおバカ作品」「ふざけているだけで内容は浅い」とやゆする人もいますが、果たして本当にそうでしょうか。年代を問わない笑いは、すなわち、「普遍性がある」ということ。しかも、それは福田さんをはじめとするスタッフと俳優が、最初から狙って作り上げたものです。

 これまでも、福田さんは「アオイホノオ」(テレビ東京系)、「スーパーサラリーマン左江内氏」(日本テレビ系)、映画「HK 変態仮面」などで過去の漫画を映像化するなど信頼性抜群。「今日から俺は!!」でも、最後まで底抜けの明るさと良い意味でのおバカさを貫いてくれるでしょう。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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