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「結婚」「離婚」一生涯でできる“回数”に制限はあるの? 弁護士に聞いてみた

結婚・離婚に「回数の制限はあるの?」と思ったことはありませんか。法的観点からみて実際どうなのか、弁護士に聞いてみました。

結婚・離婚に“回数制限”ある?
結婚・離婚に“回数制限”ある?

 11月6日、俳優の遠野なぎこさんが、自身のインスタグラムとブログで、恋人への“逆プロポーズ”を考えていることを明かし、話題となりました。投稿では「『“逆プロポーズ”』してみようかなぁ、今度。時期は決めずにね」「それくらい、好きになってしまった」と、現在の恋人への思いを明かしていましたが、10日には「『“逆プロポーズ大作戦”大成功!!』皆んな、いっぱいいっぱいありがとう」と、喜びをつづっています。遠野さんはこれまで3度の結婚・離婚をしており、今年3月には3度目の離婚を自身のブログで報告していました。

 結婚・離婚については、「回数の制限はあるの?」と疑問を持つ人もいると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

結婚・離婚を繰り返すことで生じる「問題」も

Q.ずばり、結婚・離婚には法的な回数の制限(上限)はあるのですか。

佐藤さん「結婚・離婚には、法的な回数制限はありません。そのため、何度でも結婚と離婚を繰り返すことができます」

Q.結婚・離婚に関して、「期間の制限」はありますか。例えば、「婚姻届を出した翌日に離婚届を出す」「離婚した次の日に再婚」のようなことは、法的に可能なのでしょうか。

佐藤さん「結婚してから離婚するまでの期間について、制限はありません。つまり、双方が同意すれば『婚姻届を出した翌日に離婚届を出す』ことは可能です。

一方、離婚から再婚までの期間について、現行民法733条1項は、『女は、前婚の解消または取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない』と定めており、女性について、100日の再婚禁止期間を設けています。なお、『(1)女性が前婚の解消または取消しの時に懐胎していなかった場合』『(2)女性が前婚の解消または取消しの後に出産した場合』(同条2項)には期間の制限なく、再婚することができます。

2022年12月10日に改正民法が成立し、これにより、女性の再婚禁止期間を廃止することが決まりました。新しいルールは2024年4月1日から施行されます。そのため、2024年4月1日以降は、性別を問わず、離婚から再婚までの『期間の制限』はなくなり、『離婚した次の日に再婚』のようなことも可能になります。

なお、女性の再婚禁止期間は、離婚後すぐに女性が再婚して出産した場合、子どもの父親が『前の夫』と推定されるとともに、『今の夫』とも推定されてしまうという混乱を避けるために存在しました。しかし今回の民法改正により、再婚している場合には、離婚から300日以内に生まれた子も『今の夫』の子と推定するルールに変わり、これにより混乱を避けられるため、再婚禁止期間が廃止されることになりました」

Q.結婚・離婚を繰り返すことによって生じる問題として、法的な観点からどのようなことが考えられますか。

佐藤さん「何度も結婚・離婚を繰り返すことは、本人の自由です。しかし、子どもがいた場合、親権をどうするかという問題が生じます。離婚するには、一方を親権者と定めなければならず(民法819条)、子どもは実の両親と共に暮らすことはできなくなります。

結婚・離婚を繰り返す親が親権を持った場合、度重なる結婚・離婚により、子どもは安定した家庭生活を営むことが難しくなる可能性があるでしょう。一方、結婚・離婚を繰り返す親が親権を持たなかった場合、子どもの数が増えれば、それだけ養育費の負担も重くなります。

また、離婚の度に『財産分与』(夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配)をすることになります。どのような財産分与をするかは夫婦間の協議によりますが、もめてしまうと“半分ずつに分ける”のが原則です。そのため、例えば、婚姻中に購入した住宅について、どちらが取得するかでもめたり、取得しない側へ多額の金銭の支払いが必要となったりします。また、どちらも取得せず処分することにした場合も、意図しないタイミングでの処分により、経済的損失が生じることもあるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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