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“知的障害を伴う自閉症”と診断…母、息子の「療育手帳」取得に葛藤 その理由は?

療育手帳、どうやって取得する?

 意外かもしれませんが、療育手帳は子どもの場合は児童相談所、大人の場合は知的障害者更生相談所などで交付されます。ただ、療育手帳は都道府県や市区町村などの自治体が運用している、非常に地域差が大きい制度です。そのため、取得までの流れは全国共通とは限りません。

 療育手帳が気になる場合、まずはお住まいの地域の障害福祉課か福祉事務所などに問い合わせ、手帳取得のための方法を確認するのがよいと思います。

 私が住んでいる地域では、親が直接児童相談所に検査予約の電話をすることが、手帳取得の第一歩でした。療育手帳の交付には知的障害の判定が不可欠であるため、児童相談所で発達検査や医師の診察などを行った後、改めて知的障害があることを確認します。その結果、手帳を交付できる判定がなされると、手帳が手元に届くという流れでした。

 ただし、手帳の取得には思った以上に時間がかかります。息子の場合、「手帳を取得したい」と思って児童相談所に電話をした日から約1カ月後が、判定を受けるための検査日でした。そして、検査から手帳が手元に届くまでに、さらに1カ月以上かかりました。

 このようなケースもあるため、使用目的があって手帳を取得しようと考えているのなら、早めに動いた方がよいかもしれません。

少しでも息子が生きやすくなるように

 息子の手帳が初めて手元に届いた日、私は届いた手帳を見つめながら、少しだけ涙をこぼしました。すでに息子に障害があることは分かっているし、望んで取得した手帳です。それでもいざ目の当たりにすると、息子の障害を完全には受け入れ切れていない複雑な気持ちが、どっと押し寄せてきたのだと思います。

 しかし、後悔はしませんでした。息子がこれから先の人生を生きていくために、きっと大きな助けになるものだと思ったからです。

 その後、年月を経て手帳は更新の年を迎え、息子の療育手帳の判定は重度になりました。おかしな話かもしれませんが、重度になった手帳を手にしたときは、まったく涙はこぼれませんでした。それどころか、重度の判定が出た日は夫の提案で、息子が好きな焼き肉を食べに家族で楽しく出掛けたくらいです。

 とはいえそんな私も、息子の障害を本当に受容できているのかと言われれば、よく分かりません。それでも以前に比べたら、息子に障害があることは私の中で当たり前の日常として根付き、落ち込むこともなくなりました。

「障害受容」という言葉がありますが、どういう状態になったら「受容した」と言えるのか、その指標は非常に曖昧なものだと思います。

 誰かに促されてするものでもないですし、できるまでの期間も人それぞれです。大事なのは受容できたかどうかではなく、子どもが少しでも生きやすくなるように、親ができる限りのことをしてあげること、それに尽きるのではないでしょうか。

 手帳の取得は親の障害受容あってこそ、と思われるかもしれませんが、「とりあえず心を無にして動いた」という親御さんもいれば、私のように、「取得したはいいけど泣いてしまった」という話も聞きます。

 もし、かつての私のように、子どもが障害の判定を受け、葛藤の中で苦しんでいる人がいたら、「受容できたかどうかは分からないけれど、受けられる支援は全て受けることにした」という一つの例として、知ってもらえたらうれしいです。

(ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ)

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べっこうあめアマミ(べっこうあめあまみ)

ライター、イラストレーター

知的障害を伴う自閉症の息子と「きょうだい児」の娘を育てながら、ライター、電子書籍作家として活動。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害のある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をツイッター(https://twitter.com/ariorihaberi_im)などの各種SNSで続けている。障害児育児をテーマにした複数の電子書籍を出版し、Amazonランキング1位を獲得するなど多くの障害児家族に読まれている(https://www.amazon.co.jp/dp/B09BRGSY7M/)。「べっこうあめアマミ」というペンネームは、障害という重くなりがちなテーマについて、多くの人に気軽に触れてもらいたいと願い、夫と相談して、あえて軽めの言葉を選んで付けた。

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