まさか自分が…子どもの前で痴漢された母親、誰にも言い出せず苦悩する日々 「私も経験があります」
痴漢に遭った経験を描いた漫画が話題に。混雑している中で、ふと、なでられた感触があり、振り向くとそこには…。
痴漢に遭った経験を描いた漫画がSNS上で話題となっています。夏休みに家族でプールに行き、子どもと遊んでいた母親。混雑している中で、ふと、なでられた感触があり、振り向くとそこには…という内容で「私も経験があります」「いつも警戒が必要ですね」「痴漢は滅べ!」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。
自分が痴漢に遭うとは思わなかった
この漫画を描いたのは、花森はな(ペンネーム)さんです。パートをしながら、ツイッターでエッセー漫画を発表しています。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
花森さん「イラスト自体は子どもの頃からずっと描いていて、他名義でイラストレーターの仕事をしていたこともあります。数年前に子どもが不登校になり、当時はどうしたらいいか分かりませんでした。そのことから、不登校について描いた漫画があったらいいなと思い、当時の経験をエッセー漫画にして発表しています」
Q.今回の漫画を描いたきっかけは。
花森さん「痴漢に遭ったときは30代半ばで、子どももいて、まさかこんな状況で自分が痴漢に遭うとは思いませんでした。家族にも打ち明けられず、ずっと言葉にできない気持ちを抱えていたので、吐き出したかったのだと思います」
Q.これ以前にも、痴漢に遭った経験はありますか。
花森さん「子どもの頃から、変質者にはよく遭遇しました。学生の頃は、通りすがりにいきなり胸をもまれる、下品な声掛け、盗撮、露出や付きまといなど…。母親に何度か被害を訴えたことはありますが、学校やバイトの帰りが遅かったので『アンタが悪い』と言われてしまい、『何を言っても無駄だ』と諦めてしまいました」
Q.子連れの母親が痴漢に遭うことを想定していましたか。
花森さん「妊婦のときに痴漢に遭ったことはありますが、まさか子連れでとは…。全く想定していませんでした」
Q.もし、今被害にあったら、加害者に何と言いますか。
花森さん「先日も電車に1人で乗っているとき、おじいさんにいきなり絡まれました。そのときはきちんと言い返すことができたので、子どもが一緒じゃなかったら何か言えるのかもしれません。
でも、子どもが一緒だと、やはり何も言えないです。周囲に誰かがいて、すぐ助けを呼べる、自分の身の安全が保障されているのであれば、『やめろ。触るな』くらいは言えたらいいな、と思います」
Q.もし、被害に遭ったのが自分以外だったら、どのように対処したと思いますか。
花森さん「被害に遭ったのが子どもだとしたら、加害者を怒鳴りつけていると思います。痴漢に遭いやすいから気が弱いという訳ではなく、本来は気が強いんですよ。
私は、自分がこれまでに受けた性被害を、親にも配偶者にも責められたりバカにされたりしてきました。もし、自分の周囲の人がそんな目に遭ったとしたら、否定せず話を聞いて、警察に行ける状況なら一緒に行きたいです。それは、自分がしてほしかったことでもあります」
Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。
花森さん「たくさんの痴漢被害の報告が寄せられました。ほとんどがお母さんです。読んでいるだけでゾッとするもの、卑劣すぎるものばかりで、怒りで涙が込み上げてきました。また、母親でも痴漢に遭うということを知らない方がものすごく多くて…。
怒ってくださって本当にありがたいです。子連れのお母さんや妊婦さんが、公共交通機関や外出先で痴漢に限らず困っていたら、助けてあげられる人が増えたらいいなと思います」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。
花森さん「今現在も、子どもが不登校になったときの漫画を描いています。不登校はどうしてもネガティブなイメージがあるので、不登校だけど毎日楽しく生きてるよ、という日常漫画の発信をこまめにやっていきたいです」
(オトナンサー編集部)
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