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話題沸騰 “雪衣”岡田結実が「カムカムエヴリバディ」で放つ存在感

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で雪衣役の演技が反響を呼んでいる岡田結実さん。これまでの軌跡を振り返り、その魅力に筆者が迫ります。

岡田結実さん(2019年12月、時事)
岡田結実さん(2019年12月、時事)

 放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土 前8:00)。昭和、平成、令和の時代、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代の姿を描いた同作で、最初のヒロイン・安子(上白石萌音さん)が嫁いだ雉真家の女中・雪衣を演じているタレントで女優の岡田結実さん。

 雪衣は、娘のるいを連れて大阪に出た安子が再び、故郷の岡山に帰ってくる第6週から登場し、作中で強烈なインパクトを残しています。

女優業とタレント活動の両立

 人気お笑いコンビ・ますだおかだの岡田圭右さんを父に持つことで知られる岡田さん。幼少期から、ジュニアモデルや教育番組「天才てれびくん」(NHK・Eテレ)で“てれび戦士”を務めた後、「ニコ☆プチ」や「ピチレモン」など、女子小中学生向けファッション雑誌の専属モデルとして活躍し、同世代の女の子たちから支持を集めました。

 父親譲りの巧みなトーク力でバラエティー番組にも引っ張りだこ。幼い頃は娘であることを隠して活動していましたが、正式に公表してからは「ワオ!」「閉店ガラガラ」など、圭右さんの持ちネタをノリノリで披露していた姿が印象的です。2016年から2020年にかけては「誰だって波瀾爆笑」(日本テレビ系)でMCとして、番組をしっかりと進行していました。

 決して、親の七光ではなく、自分だけの力で着実にキャリアを積み上げてきた岡田さんですが、かねてより、「女優になることが夢」だと明かしています。その夢がかなったのは2017年のこと。岡田さんは女子高生によるいじめを題材とした映画「傷だらけの悪魔」で待望の女優デビューを果たします。

 演技初挑戦ながら、無邪気に主人公をいじめる役どころを熱演し、確かな存在感を発揮しました。その後、ドラマ「静おばあちゃんにおまかせ」(テレビ朝日系)や「私のおじさん~WATAOJI~」(同)で主演に抜てきされるなど、女優としての道を駆け上がることに。そんな岡田さんの転機となった作品が、2020年に放送されたドラマ「女子高生の無駄づかい」(同)です。

 同作は、ちょっと残念な女の子が集まる「さいのたま女子高等学校」を舞台とした学園コメディー。主演を務めた岡田さんは“バカ”と呼ばれる問題児の田中望役を演じ、原作ファンから、個性的なキャラクターを熱演するキャストの再現度が話題となりましたが、岡田さんの振り切った演技も注目を集めました。

 さらには「江戸モアゼル~令和で恋、いたしんす。~」(読売テレビ・日本テレビ系)で、江戸時代から現代にタイムスリップしてきた粋な花魁(おいらん)を愛らしく好演するなど、どの作品でも、個性豊かなキャラクターをしっかり、自分のものとして演じ切りました。

注目された絶妙なたたずまい

 そんな岡田さんが「カムカムエヴリバディ」では、これまでのイメージを覆す役どころを担っています。よく気が利き、雉真家の人間からも信頼される女中で、安子とるいを快く迎え入れた雪衣は一見すると何も問題はありません。しかし、岡田さんが醸し出すミステリアスな雰囲気が視聴者の心をざわつかせたのです。

 特に注目されたのは、雪衣が、戦死した安子の夫・稔(松村北斗さん)の弟で、安子の幼なじみでもある勇(村上虹郎さん)を見つめる瞳。明確なセリフがなくとも、そこには彼をひそかに思う乙女心がにじみ出ていました。

 そのため、SNSや“朝ドラ受け”の「あさイチ」(NHK総合)では「雪衣は良い人なのか、悪い人なのか」という議論を巻き起こすことに。それほどまでに、岡田さんは絶妙なたたずまいで視聴者を翻弄(ほんろう)していました。

 実は岡田さんは当初、今作のオーディションでヒロイン役を狙っていたとのこと。しかし、最終審査で満足のいく演技が披露できなかったそうで、「『きっとこの作品に関わることはかなわないだろうな』と、号泣しながらNHKから帰ったんですよ(笑)」(ORICON NEWS)と後に明かしています。

 結果として、ヒロインに選ばれることはありませんでしたが、後日、スタッフから雪衣役でオファーを受けました。そんな岡田さんの演技について、同作の制作統括・堀之内礼二郎さんはこう語っています。

「お芝居によっては、ものすごくきついというか、嫌な雪衣さんにもなりえたと思うんです。ですが、いいバランス感覚を発揮して役を演じてくださったおかげで、何か“ひっかかり”があるのだけれども、嫌な人ではない、純粋に勇に思いを寄せる一人の女性を演じてくださいました」

 その言葉通り、雪衣は時として、とげのある言葉を発しながらも、人間味のあるキャラクターとして作品にスパイスを効かせていました。

 結果として、雪衣が発した言葉が一つの引き金となって、安子とるいの仲が引き裂かれる形で第1部が終了。この先、岡田さんの出演シーンがあるか定かではありませんが、彼女が演じる雪衣の強い印象は視聴者の脳裏に今も焼きついています。

(ライター 苫とり子)

苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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