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清原果耶、蒔田彩珠、森七菜…2020年、並外れた演技力が光った「ティーン女優」

清原果耶さん、蒔田彩珠さん、森七菜さん…。2020年、活躍が目覚ましかった「ティーン女優」を振り返ります。

清原果耶さん、蒔田彩珠さん(2019年6月、時事通信フォト)、森七菜さん(2019年11月、時事)
清原果耶さん、蒔田彩珠さん(2019年6月、時事通信フォト)、森七菜さん(2019年11月、時事)

 いつの時代も新進気鋭の若手は時代に新しい風を吹かせる。今回の記事では、2020年、特に活躍が目覚ましく、並外れた演技力や魅力を感じた10代の女優(ティーン女優)を振り返っていきます。

映画での活躍が目立った清原果耶さん、蒔田彩珠さん

 10代の女優といえば、主演級で出演されている作品も数多くあり、幅広い役柄を安定感のある演技と独特な魅力を放ちながら演じる清原果耶さんが挙げられます。2019年以前も、映画にドラマにとすでに引っ張りだこだった印象ですが、2020年は特に、映画における活躍が目覚ましかったです。

「第43回日本アカデミー賞」で最優秀作品賞を受賞した映画「新聞記者」を手掛けた藤井道人監督の「宇宙でいちばんあかるい屋根」では主演に抜てきされます。どちらかというと年齢よりも大人っぽい雰囲気を持つ彼女ですが、本作では、まだあどけなさの残る思春期の少女を好演。思春期ならではの恋愛や家族の在り方について悩みながら、感情が移り変わっていく様子やその時々における気持ちを表情や動きでしっかりと表現し切っていました。

 10代の中でも、繊細な心の動きを演技で体現できる数少ない女優だと感じます。

 また、映画「望み」では兄が加害者であるか被害者であるかの間で、どうあってほしいかを思い悩む受験生の妹を好演。兄の事件が起こる前の明るく天真らんまんな姿と事件が起こった後に様変わっていく姿の演じ分けが見事で、主演の堤真一さんと石田ゆり子さんに負けず劣らずの演技を見せました。

 さらに、清原さんの声優としての可能性を大いに感じたのがアニメ版「ジョゼと虎と魚たち」のジョゼ役です。なかなかクセが強いキャラクターで、まだ、声優としての経験が少ない彼女にとってハードルが高いのではと思いましたが、上から目線の物言いや関西弁、変わっていく声色までの完成度が高く驚かされました。

 2021年はすでに映画の出演作が5作品、さらに朝ドラ「おかえりモネ」のヒロイン役が決まっています。間違いなく、今後の映像業界を引っ張っていく存在になるでしょう。

 続いて触れたいのが蒔田彩珠さんです。2019年以前も静かに存在感を出してきた彼女は、2020年に飛躍したと言っても過言ではないでしょう。

 特に映画での活躍が目覚ましく、数ある出演作の中で特筆したいのが「朝が来る」での片倉ひかり役の演技です。同作は、子どもを授かることを諦めた栗原清和(井浦新さん)と佐都子(永作博美さん)夫婦が「特別養子縁組」を利用して、男の子を迎え入れることになり、その男の子を14歳で産んだのが片倉ひかりです。

 中盤から後半にかけては実質、主役と言っても過言ではないほど物語の軸となり、作品をリードしていく存在となっています。

 自分の好きな人と付き合うことができて、幸せの絶頂にいるような輝きを放つ、きらびやかな青春の日々から、10代で妊娠することになり、さまざまな葛藤や感情を抱えながら後ろめたく生きなければならなくなる日々の変化が、同一人物とは思えないほど生々しく演じられています。

 さらに、それをなかなか分かってもらえずに思い悩んでいく姿から、打ち明けられる人に出会ったときに見せる表情や動き、しぐさなどその一挙手一投足が素晴らしく、その演技が高く評価され、「第45回報知映画賞」「第42回ヨコハマ映画祭」の両方で助演女優賞を受賞しています。2018年の「第43回報知映画賞」で新人俳優賞を受賞してから、わずか2年での助演女優賞獲得と18歳での2冠は史上最年少の功績でもあります。

 2020年は「朝が来る」以外に、映画「星の子」「#ハンド全力」にも出演し、2021年には朝ドラ「おかえりモネ」で清原果耶さん演じるヒロインの妹役も決まっています。

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岡田拓朗(おかだ・たくろう)

ライター

大手・ベンチャーの人材系企業を経て、フリーランスとして独立。現在は教育業界やエンタメ業界を中心に広報やライターなどさまざまな仕事をしている。映画とドラマが好きで、SNSや音声配信メディアで作品のレビュー・感想も発信中。

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