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帝王・船越英一郎、サスペンスは「究極のエンターテインメント」 月9熱血刑事で集大成

自身初の月9となるフジテレビ系連続ドラマ「トレース~科捜研の男~」で、熱血漢のベテラン刑事を演じる“サスペンスの帝王”船越英一郎さんに単独インタビュー。サスペンスへの思いや信念などを聞きました。

船越英一郎さん
船越英一郎さん

“サスペンスの帝王”と称される、俳優の船越英一郎さん。サスペンスを「自分にとってライフワーク」と語り、現在は、1982年のデビュー以来初の月9となるフジテレビ系連続ドラマ「トレース~科捜研の男~」(毎週月曜 後9:00)に出演、熱血漢のベテラン刑事を演じています。

 オトナンサー編集部では、船越さんに単独インタビューを実施。サスペンスへの思いや信念、月9初出演の心境などを聞きました。

“役を生きる”と“役回りを演じる”

 船越さんが出演したサスペンス作品は400本以上、主演作だけでも100本以上を数えます。サスペンスとは何かとの問いに、「究極のエンターテインメント」と語ります。

「ドラマの原点の原点とも言える、ギリシャ劇などの古典も、ひもとけば、サスペンスであり、ミステリーなんです。ハラハラドキドキという展開や犯人探しがあり、人間ドラマや恋愛ドラマ、時にはコメディーも含んでいます。ホームドラマの要素もあります。

さまざまな要素がギュッと集約され、凝縮されて、すべてのドラマを一気に味わい尽くすことができる。究極のエンターテインメントだと思うのは、そういう理由です」

 数多くの刑事を演じてきた船越さんですが、オファーを受ける前には必ず、どのようなアプローチで演技に取り組むのかを頭に思い描くといいます。

「俳優の根本にあるのは“役を生きる”ということ。その役として生きることが、演じるということなんです。しかし、エンターテインメント性が高いサスペンス作品であれば、“役を生きる”ことに加えて、お客さまを意識し、作品の楽しみ方をガイドする役割として“役回りを演じる”ことが求められます。

僕が演じる役を通して、いかにお客さまに分かりやすく楽しんで見てもらえるのか。どのように犯人にたどり着き、対決するのかを見ていただきたいんです」

 意外にも月9は今回が初出演。昔から月9には思いがあったそうで、「若い頃は、崖の上から羨望(せんぼう)のまなざしを送っていました。たまには、スタジオでおしゃれな家に住んでいる役をやって、きれいな女優さんと恋愛がしたいなと(笑)」。

 月9のオファーがあった際は、「よし来た! 大人の恋かな?」と恋愛ドラマを期待したそうですが、サスペンス作品の刑事役ということが分かり、「まあ、世の中そんなに甘くないということですよね」。

 演じるのは、定年を目前に控えたベテラン刑事・虎丸。刑事の勘を頼りに捜査を進め、時に部下に怒鳴り声を上げるなど熱血漢の性格の半面、被害者や遺族を思いやる純粋な心も持つという役どころです。

「今まで僕が世代的に求められてきたヒーロー像は、感情をむき出しのままに生きている役が多かったんですよね。今回もそうですが、どこか社会構造の中でうまく生きることができず、周りをざわつかせてしまう甚だ迷惑な男というような(笑)そういう意味では、時代のアンチを求められてきました」

 プロデューサーや監督と入念な議論を行いながら、覚悟を持って「トレース」に臨んでいるという船越さん。この状況を“月9vs2時間サスペンス”と表現します。

「自分のライフワークであるサスペンスを背負って、月9に出させていただくのであれば、極端な背負い方をしようと。こういう(熱血な)アプローチで刑事をやれるのも、僕にとって残された時間は少ないんですよ。今回が最後かもしれない。僕も虎丸と同じでもうすぐ定年です。70歳にまでなって、『てめー! この野郎!』とは言えないですからね(笑)」

「集大成として、月9を壊そう!…とは言い過ぎですが、制作陣の皆さんは、月9との化学反応を期待して、僕に声をかけてくれたのでしょうから、覚悟と覚悟とのぶつかり合い、“月9vs2時間サスペンス”です。お客さまがどのように受け入れてくれるのか、あるいは、拒絶されながらもいつの間にか癖になっていくのか。実はそれを狙っているんです(笑)」

(オトナンサー編集部)

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