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家でも学校でも“物の位置のずれ”を整えないと落ち着かない…自閉症の11歳息子が教えてくれた「片付けの多様性」

片付けのもう一つの意味

棚の上が気になりすぎて、次の行動に移れないことも…
棚の上が気になりすぎて、次の行動に移れないことも…

 ある日、私は息子が棚の上を整えているときに、わざとバッグをほんの少し動かしてみました。息子はすぐに気付き、静かにそのバッグを元の位置に戻しました。

 予想通りの一連の動きは、私にも不思議な安心感をもたらしてくれます。「整っていないと落ち着かない」という息子の頭の中には、きっと彼なりの世界の秩序があります。その秩序は、きっと、彼の心を安定させるための大切な仕組みなのでしょう。

 以前の私は、整頓や片付けを「生活しやすくするため」や「きれいに見せるため」にやるものだと考えていました。

 しかし、息子を見ているうちに、片付けには「心を落ち着かせる」というもう一つの意味があるのではないかと思うようになりました。

 息子の世界は、静かで繊細で正確です。その世界の中で、彼は自分なりの秩序を通じて安心をつくり、日々を過ごしています。

「片付けとは、心を整えること」

 言葉を持たない息子ですが、私はまるでその行動一つ一つが、彼の考えや気持ちを教えてくれているようだと思いました。

 息子の几帳面さは、ときに不便を生むこともあります。しかし、そこに込められた意味を思うと、私は「整える」行為そのものを、以前よりもずっと優しく見つめられるようになったのです。

 息子の几帳面さを見ていると、秩序とは「完璧さ」ではなく、「安心の形」なのだと思います。

 これからも、息子の手で整えられていく小さな世界を、そっと見守っていきたいと思います。

(ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ)

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べっこうあめアマミ(べっこうあめあまみ)

ライター、イラストレーター

知的障害を伴う自閉症の息子と「きょうだい児」の娘を育てながら、ライター、電子書籍作家として活動。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害のある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をツイッター(https://twitter.com/ariorihaberi_im)などの各種SNSで続けている。障害児育児をテーマにした複数の電子書籍を出版し、Amazonランキング1位を獲得するなど多くの障害児家族に読まれている(https://www.amazon.co.jp/dp/B09BRGSY7M/)。「べっこうあめアマミ」というペンネームは、障害という重くなりがちなテーマについて、多くの人に気軽に触れてもらいたいと願い、夫と相談して、あえて軽めの言葉を選んで付けた。

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コメント

1件のコメント

  1. 昔、元サッカー日本代表の長谷部誠選手が「心を整える」という本を出していました。確か、彼も片付けをして心を整えていた気がします。