柄本時生が語る「役者」「仕事観」そして「兄」
TBS系連続ドラマ「わたし、定時で帰ります。」で、技術はあるが要領が悪く、会社にすみ着くエンジニア・吾妻徹を演じる柄本時生さんに単独インタビュー。演じることに対する考えや作品の見どころなどを聞きました。

個性派俳優として、さまざまな作品に出演する名バイプレイヤーの柄本時生さん。放送中のTBS系連続ドラマ「わたし、定時で帰ります。」(毎週火曜 後10:00)では、技術はあるが要領が悪く、会社にすみ着くエンジニア・吾妻徹を演じています。
オトナンサー編集部では、柄本さんに単独インタビューを実施。俳優一家で育ったが故のエピソードや演じることに対する考え、作品の見どころなどを聞きました。
昔から、できないことが当たり前
Q.個性的なキャラクターを演じることが多いですね。
柄本さん(以下敬称略)「僕は特にやりたい役柄というのはなくて、頂いたお仕事であれば何でもやりたいと思っています。(クセのある役を演じることは)抵抗とかはないです」
Q.演じるのに抵抗があると感じたご経験はありますか。
柄本「一度もないかもしれないです。演じやすい、演じにくいと思うのって(その役を演じることが)できると思っているからだと思うんです。僕は昔から、できないことが当たり前だと考えていて、それをできるようにしていくことが楽しいんです」
Q.働くことがテーマの作品です。柄本さんは多くの作品に出演されていますが、俳優を志したきっかけを教えてください。
柄本「もともと宮大工になりたくて、俳優になろうと思ったことはありません。きっかけは、ある作品で小学校6年生の役を探していたところ、『柄本(明)の息子が、役者をやっているらしいぞ』とうわさになったみたいで、兄ちゃん(柄本佑さん)に話が来たことです。その時、兄ちゃんは高校2年生で、代わりに僕がオーディションに呼ばれました。何もできませんでしたが、それがよかったみたいで、そこから今に至ります」
Q.その現場を経験して、俳優としての楽しみを覚えていったのでしょうか。
柄本「映画を見るのが趣味で、どちらかと言うと、撮影現場で大人と映画の話をするのが楽しかったですね。『その年でそんな映画見ているんだ』って言われるのがうれしくて、その時の優越感は今でも覚えています。好きな映画監督の現場を見られたのも楽しかった(笑)そこから、だんだんと(仕事が)好きだなと思えるようになりました」
Q.影響を受けた人物はいますか。
柄本「影響を受けているとしたら、兄ちゃんですかね。兄ちゃんが映画の仕事を始めた時、家族みんなで兄ちゃんの現場を見に行ったんですよ。そこで、大人と話している兄ちゃんの姿が『かっけー!』と思いました。影響を受けたとしたら、それですかね(笑)」
Q.仕事を通して「本当の幸せ」を描く作品ですが、柄本さんにとって「仕事」「本当の幸せ」とは何でしょうか。
柄本「僕はどちらかというと、すごく働きたいタイプなんです。だから、もし今後、家庭みたいなものを持ったとして、仕事と家庭でどちらもよいバランスになれば、幸せなのかなと思っています」
Q.忙しい方がお好きなんですね。
柄本「僕は仕事を断らないと決めていて、忙しいことに慣れているからなのかもしれません。今は時間に余裕があって、3日休んで1日撮影というスケジュールなのに、体調を崩して遅刻もしちゃって…(笑)最近までは、舞台の稽古をして、舞台本番中に映画やドラマを同時にやっていたんですが、遅刻もなくて、ずっとピンとしている感じがして、忙しい方が元気なんです」
Q.今回演じている「吾妻徹」に共感するところはありますか。
柄本「家に帰ってもやることがないから、外にいるというところは分かります。僕もだいたいは映画館に行っていますね。家に帰ってもやることがないですし、『何かしなきゃ』って気になって」
Q.作品の見どころを教えてください。
柄本「自分のちょうどいいところで仕事をするドラマって、あんまり見たことないですよね。普通は主人公が頑張って残業したりして、その上で成功するじゃないですか。そうではなく、一生懸命過ぎない、頑張り過ぎない主人公というのは新しくて、面白いと思います。僕は頑張っていた方が楽ですけどね(笑)」
(オトナンサー編集部)
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