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制定されて76年…女性の「生理休暇」、なぜ周知されない? 社労士に聞く“2つの理由”

生理休暇は取得率が「低い」

Q.その他、生理休暇を取得する際のポイント、注意点は。

木村さん「会社の給料で精勤・皆勤手当が支給される場合、就業規則などで『生理休暇の取得=欠勤扱い』の定めがあると、手当が減額、もしくは支給されない可能性があるので確認が必要です。

また、生理中ではない場合や、生理中ではあっても就業が著しく困難でない場合に生理休暇を取得すると、そのことが会社に露見した場合、懲戒処分を受ける可能性があり、懲戒処分を妥当とした判例もあります。休暇の趣旨を理解して、適切な場面で利用することが大切です」

Q.働く女性の中には「生理休暇のことを知らなかった」という声があります。なぜ、周知されていないのでしょうか。

木村さん「主に、次の2点が考えられます。まず、生理休暇は法律で定められているので就業規則などには明記されていますが、就業規則を読み込んだことがない人が多いために制度が周知されていないこと、そして、過去の生理休暇の取得率が低いことです。

厚生労働省『2020年度雇用均等基本調査』によると、女性労働者がいる事業所のうち、2019年度に生理休暇の請求者がいた事業所の割合は3.3%で、女性労働者のうち生理休暇を請求した人の割合は0.9%です。

女性社員が入社しても、周りに生理休暇を取得する人がほとんどいないので、制度そのものを知らないままで過ごしてしまうのではないでしょうか」

Q.生理休暇の存在を知らない人はもちろん、「使っている人を見たことがない」「本当に休んでいいのか悩む」などの理由で、生理休暇の利用に消極的な人も少なくないようです。

木村さん「生理休暇は、法律で認められた権利です。生理のつらい症状が原因で勤務が厳しい場合、我慢して仕事を続けるよりも、しっかり休んで体調を整えた方が、パフォーマンス向上につながるでしょう。

ただし、生理休暇時の賃金の扱いなど、制度の運用については会社ごとに違いがあります。就業規則などを確認した上で、活用してみてはいかがでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

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