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SNSで話題のNHK版「大奥」 原作ファンをうならせる冨永愛、斉藤由貴らの演技力と精巧な脚本

SNSを中心に話題となっているNHKの連続ドラマ「大奥」。原作ファンをうならせる本作の魅力に迫る!

「大奥」に出演する冨永愛さん(2022年7月、時事通信フォト)
「大奥」に出演する冨永愛さん(2022年7月、時事通信フォト)

 1月10日から放送中の連続ドラマ「大奥」(NHK総合、毎週火曜 午後10時)が、SNSを中心に話題となっています。同作は、漫画家のよしながふみさんが描く“男女逆転の大奥”に、俳優の冨永愛さん、堀田真由さん、仲里依紗さんら実力派のキャストとスタッフが新たな新風を吹き込む本作の魅力について、原作ファン目線で紹介します。

原作ものを手がけたら随一、脚本家・森下佳子の手腕が光る

 大奥は、紙・電子版併せて累計発行部数600万部突破した大ヒット作品。舞台は、江戸幕府三代将軍・徳川家光の時代に若い男子のみが感染する奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が流行し、男性の人口が女子の4分の1まで激減した世界です。

 そこでは、あらゆる家業が女性から女性へと受け継がれ、徳川幕府の将軍職もまた家光以降は女性が務めることに。大奥では将軍の威光の証しであるがごとく希少な男子を囲い、俗に“美男三千人”と称される男の世界が築かれていきます。

 いわゆる、“もしも”の世界=パラレルワールドを描いたこの漫画はこれまで一部が映画、ドラマ化されてきましたが、ラストとなる大政奉還までを初めて映像化するNHKの壮大なプロジェクトに製作決定の一報が出た当初から注目が集まっていました。

 そして、1月10日に初回15分拡大でNHK版「大奥」がスタート。同じくNHKの時代劇「大河ドラマ」と見まごうほどの豪華絢爛(けんらん)な映像世界に、よしながさんの描く男女逆転の大奥が遜色なく見事に映し出されていました。

 物語の序章に当たる第1話「八代将軍 吉宗・水野祐之進編」では、八代将軍に就任した吉宗(冨永さん)と、幼なじみとのかなわぬ恋を断ち切るため、大奥入りを決意した旗本の息子・水野祐之進(「「Hey! Say! JUMP」」中島裕翔さん)の目線で外界から閉ざされた大奥での生活やしきたりが紐解かれていきました。

 後に水野は吉宗に見初められ、最初の夜伽の相手である“ご内証の方”に選ばれるのですが、それによって死罪を言い渡されることに。しかし、吉宗の粋な計らいに命を救われ、進吉と名を変えて新たな人生を歩む……というストーリーでした。

 原作漫画1巻分の内容を丸ごと描いているため、原作よりも展開はかなりスピーディー。そして、「JIN-仁-」シリーズや「義母と娘のブルース」シリーズ(共にTBS系)といった原作漫画の実写化で成功を収めてきた脚本家・森下佳子さんの脚本は、短い時間の中で原作未読の視聴者に物語の重要ポイントを伝えるため、細かなエピソードを省きつつ、オリジナルのセリフやト書きで補い、無駄がない精巧な形に仕立て上げられ、うならされます。

【写真】堀田真由は「大奥」でどんな魅力を見せてくれるのか? 仲里依紗も

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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