これでバッチリ! 「免疫力」を高め、コロナに負けない体をつくる食事
「免疫力」を高めるために有効かつ簡単な食事について、管理栄養士に聞きました。
なかなか収束のめどが立たない新型コロナウイルス。変異ウイルスも現れる中、自身の免疫力を下げることなく、高めることを目指していきたいですね。そこで今回は、免疫力を高めるために日常生活で有効、かつ簡単に行える食事について、管理栄養士の有水友美さんに聞きました。
そもそも「免疫力を高める」とは
Q.そもそも、免疫力を高めるとはどういうことなのでしょうか。
有水さん「免疫力を高めるとは、さまざまな病気や不調になる元(細菌・ウイルスなど)と戦う力を高めることです。免疫力が高いと戦う兵隊が多いので、敵であるウイルスや細菌に勝つことができるということです。人間には、ウイルスや細菌(敵)を侵入させない“防御する免疫”と、侵入した敵と戦う“戦う免疫”という2段階の免疫が生まれつき、備わっています。ですので、免疫力を下げないようにすることも大切です」
Q.では具体的に日常生活で免疫力を高めたり、下げないようにしたりするにはどうしたらよいのでしょうか。
有水さん「免疫は腸内環境の影響を大きく受けます。ですから、腸内環境を整えることも、体調を整え、免疫力を高めたり、下げないようにしたりするためにはとても大切です。腸内環境を整えるというと、一般的にはヨーグルトや乳酸菌、発酵食品を取れば大丈夫だと言われていますが、それだけでは不十分です。大人の場合は、これらを継続して取り続けることや菌の種類を選ぶことも必要です」
Q.なぜ、乳酸菌や発酵食品を継続して取り続けることが必要なのでしょうか。
有水さん「大人になってから取った菌は、実はそのまま外に出ていってしまいます。もともと、その人が持っている腸内細菌の種類や割合は、生まれてから1000日くらいまでに決まってしまうと言われています。
赤ちゃんの研究データは多くはありませんし、まだまだ研究途中ですが、生まれてから3歳くらいまでに食べたものが、将来の体の免疫に大きく影響してくるというデータがあります。小さい頃から発酵食品を食べるなどさまざまな菌に触れさせてあげると、大人になっても、腸内環境の整った状態でいられる可能性が高くなります。
腸内細菌の種類は善玉菌(よい菌)と悪玉菌(悪さをする菌)、そして、どちらか強い方についてしまうといわれる日和見(ひよりみ)菌の3種類がいます。善玉菌が多く働いているときは体調もよく、免疫力も上がっていると言えるでしょう」
Q.ではどのようにしたら、善玉菌を増やし、悪玉菌の悪さを抑えることができるのでしょうか。
有水さん「それは自分に合った菌と共に『食物繊維』を取ることです。食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、いわゆる、糸状の繊維質である不溶性食物繊維の2種類があります。不溶性食物繊維は腸の中で水分を含んで、便通をよくします。一方、水溶性食物繊維は不溶性食物繊維よりも腸内で発酵しやすく、腸内細菌の餌になりやすいのです。
つまり、腸によい菌と食物繊維を一緒に取ることで、よい菌とその餌が同時に腸に入るため、よい菌を増やすことができるのです。この食事法は善玉菌を増やすのに非常に効率がよい方法です」
Q.食物繊維を取るにはやはり、野菜がいいのでしょうか。
有水さん「はい、よくそのように言われています。ところが実際には、野菜に含まれる食物繊維の量は微々たるものです。食物繊維は大人であれば、1日に21グラム以上を取るように推奨されています。ところが、ちょっとしたレタスのサラダでは1グラムも取れないのが現実です。例えば、レタス100グラムあたり、不溶性食物繊維は1.0グラム、水溶性食物繊維は0.1グラムと言われています」
Q.では、食物繊維は何から効率よく取れるのでしょうか。
有水さん「それは『主食』です。意外に思われるかもしれませんが、白米を玄米や麦飯に置き換えたり、そばやパスタを食べたりすることで、食物繊維の量は野菜よりも多く取ることができます。
白米150グラム(ご飯茶わんに軽めに盛った場合)あたりに含まれる食物繊維は0.7グラム程度と言われています。対して、玄米ご飯には2.1グラム、麦ご飯には1.4グラムもの食物繊維が含まれています。そばには1玉で4.6グラム、パスタには1人前で3.7グラムほど入っています」
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