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1991年版は意識? 「東京ラブストーリー」Pに聞く、制作決めた理由と作品の魅力

29年ぶりに復活する連続ドラマ「東京ラブストーリー」プロデューサーの清水一幸さんに、制作が決まった背景や作品の見どころなどを聞きました。

「東京ラブストーリー」(C)柴門ふみ/小学館 フジテレビジョン
「東京ラブストーリー」(C)柴門ふみ/小学館 フジテレビジョン

 柴門ふみさんの人気漫画が原作で鈴木保奈美さん、織田裕二さんらが出演し、社会現象となった大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」(1991年、フジテレビ系)が、29年ぶりに連続ドラマとして復活します。

 現代の東京を舞台に、愛媛から上京してきた青年・永尾完治(カンチ)を伊藤健太郎さん、彼が東京で出会う情熱的なヒロイン・赤名リカを石橋静河さんが演じます。

 オトナンサー編集部では、プロデューサーの清水一幸さんに単独インタビューを実施。制作が決まった背景や作品の見どころ、ドラマ作りへの思いなどを聞きました。

「もう一度、映像化してみたかった」

Q.今回、制作を決められた理由を教えてください。

清水さん(以下敬称略)「『東京ラブストーリー』は元々、大好きな漫画であり、1991年版のドラマは高校生の頃に見ていて、この世界に憧れたきっかけの一つでした。運よく、こうしてフジテレビに入社できましたので、いつの日にかもう一度、映像化してみたいと思っていました。令和になったから、というわけではなく、さらに映像化への思いが強くなったのと、各方面への調整がついたタイミングが今というだけのことなんです」

Q.漫画は1988年の作品です。30年以上たっていますが、その魅力とは。

清水「男2人、女2人、そして、彼らを取り巻く登場人物たちがそれぞれどう絡み合っていくのか。その人間模様は普遍的なものです。地元で一緒に過ごしたマドンナ的な女性への思い、リカという東京の女性との恋愛、会社での生き方、上司との不倫…そういうことは今の時代でも起きていることだと思います。

僕はこれまで、ドラマ『のだめカンタービレ』(2006年)や『最高の離婚』(2013年)など、女性の“片思いの美学”のようなものがあるのが、女性が見たいと思うドラマだと考え、それを描いてきましたが、自分のドラマに対する感覚やキャラクター作り、価値観はもしかしたら、柴門さんの作品から影響されている部分があるのかもしれません。

必ずしも、うまくまとまらないストーリーで、だからこそ印象に残りますし、自分の中に一石を投じてくれました」

Q.今回、映像化するに際して、どのような点を大事にしていますか。

清水「1991年版は、すれ違いや会えないことにスポットを当てて作られたドラマだと、僕は解釈しています。今回は、柴門さんの原作を今の時代ならどのように描けるのかということを大切にしています。例えば、1991年版は鈴木保奈美さん演じる赤名リカが主人公ですが、原作では、カンチが主人公ですので、今回はその設定の通りにしています」

Q.1991年版への意識はありますか。

清水「意識はしていません。もちろん、とてもリスペクトしているドラマですが、意識したら引っ張られてしまいますから。タイトルを『東京ラブストーリー“2020”』としなかったのもそれが理由です。1991年版は見直していませんし、出演者にも、当時のドラマは必ずしも見る必要はないと伝えました。ただ、全て出来上がったら見直そうかなとは思っています」

Q.世間的には、1991年版の印象が強いと思います。

清水「それは絶対、そうだと思います。当時の思い出を大切にしたい方にとっては、『作り直してほしくない』というような気持ちがあるのかもしれませんが、しかし今回、勝ち負けを意識して映像化するわけではありませんので(笑)」

Q.視聴者に見てもらいたいポイントは。

清水「1991年版を見たことがある方には、どう違うんだろうと比較していただいてもいいですし、スマホもあれば、LINEのやりとりもありますので、10~20代の初めて見るという方には、純粋に男女の恋愛を楽しんでいただきたい。楽しみ方は人それぞれですので、視聴者の皆さんにお任せします」

Q.ちなみに最近では、一話完結の連続ドラマが多いです。ラブストーリーを作る意義は何でしょうか。

清水「フィクションだからこそ楽しめるものだと思っていて、過去には『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年)も作りましたが、人間が持つ、好き、嫌いという感情を具現化して物語にすることが大好きなんです。なので最近は、BLや百合作品も作りました(笑)

地上波のドラマは視聴率という結果が出ます。一話完結ものが多いのは、そのせいなのもしれません。僕はドラマを作るという命を受けている以上、ストーリー作品は作っていきたい。『東京ラブストーリー』にも、そうした感情は込めています」

Q.撮影は終わっているということですが、手応えは。

清水「何本もドラマを作ってきましたが、何が当たるのかは分かりません。ただ今回、改めて連続ドラマはいいなと感じることができました。原作もあれば、1991年版もありますが、『次はどうなるんだという』と次回が楽しみで、ドキドキできるドラマになっています。先ほど、一話完結についてお話がありましたが、単純に、好き、嫌いという感情だけで、全11話、キャラクターたちが動いていくことに面白さを感じます」

「東京ラブストーリー」は動画配信サービス「FOD」「Amazon Prime Video」で、4月29日から毎週水曜深夜0時配信。

(オトナンサー編集部)

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