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ビジネスシーンでの「方言」どう思う? 「標準語にすべき」「方言でも問題ない」意見真っ二つ! マナーコンサルタントの見解は

ビジネスシーンで「方言」を使うことについて、あなたはどう考えますか? 就職や転勤などで環境が変わるビジネスパーソンが多いこの時期、マナーコンサルタントに見解を聞いてみました。

ビジネスシーンでの「方言」あなたはどう思う?
ビジネスシーンでの「方言」あなたはどう思う?

 4月に入り、新年度が始まりました。就職や転勤などで地方から移り住み、首都圏で働き始めた人も多くいると思います。ところで、皆さんは出身地の「方言」を、ビジネスシーンでもそのまま使っていますか。日本各地には、それぞれに特徴的な方言がありますが、ビジネスシーンでの使用については「標準語にした方がいいと思う」「使い分けが必要では?」「方言は個性だし、問題ないのでは」「営業職だとちょっと…」など、賛否含めてさまざまな意見があるようです。

 ビジネスシーンにおける「方言の使用」の是非について、マナーの専門家はどのように考えるのでしょうか。ヒロコマナーグループ代表で、企業のマナーコンサルティングをはじめ、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマ「龍馬伝」、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、同シリーズ最新作「密漁海岸」のマナー指導などでも活躍するマナーコンサルタント・西出ひろ子さんの見解です。

あえて方言を使用する必要はないけれど…

 まず、「方言」の定義を共有したいと思います。方言とは、共通語・標準語とは異なった形で、一地方だけで使われる語を指すと辞書で定義されています。マナー的観点から考えた場合、その地方だけで使われ、それを知らない人は意味を理解できない言葉であれば、ビジネスシーンでは使わない方がよいといえます。

 例えば、私は九州の大分県出身です。大分県には「よだきい」という方言があり、「面倒だ」とか「疲れた」という意味です。その言葉を相手も知っていて、意味を理解してくれていれば会話が成り立ちますが、そうでないとスムーズなコミュニケーションに発展しません。そうした意味において、特にビジネスシーンでは、出身地が異なるさまざまな人とコミュニケーションを取るため、互いに理解しあえる共通語・標準語を使用すると、その場がスムーズに進んでいくでしょう。

 一方で、「ビジネスシーンでは使わない方がよい」と一概に言い切ることができない側面もあると考えています。方言をきっかけに、良好なコミュニケーションへと発展する可能性もあるからです。

 私自身、大分県から上京してきたときに、方言を方言だと思わずに「よだきい」と言ったことがありました。そのときに相手から「『よだきい』って何?」と聞かれ、説明するコミュニケーションから親しくなった経験があります。

 ビジネスシーンにおいて、あえて方言を使用する必要はないと思いますが、とっさに方言を使ってしまったとき、また方言を使われたときには、互いに相手を思いやり、それをプラスに生かす前向きなコミュニケーションに発展させていくことも、思いやりやマナーを含めた“ビジネスパーソンとしての力量”につながる要素となるでしょう。

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと2000年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」(青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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