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今が旬の「サツマイモ」、食べると“おなら”が出やすくなるって本当? 管理栄養士に聞いてみた

スイーツに料理に人気のサツマイモですが、「食べ過ぎるとおならが心配」という声も聞かれます。本当におならが出やすくなるのか、管理栄養士に聞いてみました。

「大好物だけどおならが…」の声も
「大好物だけどおならが…」の声も

 10月13日は「サツマイモの日」です。焼き芋やスイートポテトなどのスイーツから、煮物といった食卓の料理まで、さまざまな楽しみ方ができる野菜ですが、サツマイモを食べるときに気になることといえば、「おなら」です。

「焼き芋が大好物だけど、食べ過ぎるとおならが気になって…」「おならが出るのが嫌だから、サツマイモは何となく敬遠しがち」という声もある中、「おならが出やすくなるって本当なの?」「どのくらい食べると出やすくなる?」など、サツマイモとおならの因果関係に疑問を持つ人もいるようです。

 サツマイモを食べると、おならが出やすくなるのは本当なのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

食物繊維の分解・代謝の過程で「ガス」が発生

Q.そもそも、サツマイモとはどんな野菜ですか。

岸さん「サツマイモは、ヒルガオ科の植物が成長・肥大した根の部分を食べる作物で、原産地は中央アメリカです。日本では、江戸時代に薩摩地方(現在の鹿児島県)から全国に伝わったことから、『サツマイモ』と呼ばれるようになりました。

主成分は炭水化物で、食物繊維やビタミンC、ビタミンB1、カリウムなども豊富に含まれています。特にビタミンCは、サツマイモ1本でリンゴの4倍以上の含有量です。通常は加熱に弱いビタミンCもデンプンによって守られており、ほとんど分解されずに残るという特徴もあります。また、切り口から出る『ヤラピン』という成分が腸の働きを促します。豊富な食物繊維との相乗効果で、便秘の改善に効果的です。

収穫時期は8〜11月ごろと幅がありますが、収穫してから2〜3カ月ほど、冷暗所で保管してから出荷され、10~1月ごろに出回るサツマイモは特においしく食べられます。まさに今が旬といえますね」

Q.サツマイモを食べると、おならが出やすくなるのは事実ですか。

岸さん「事実です。サツマイモに多く含まれる食物繊維が腸の中で分解され、腸内細菌に代謝される過程で、二酸化炭素などのガスが発生します。これがおならのもとです。サツマイモは食物繊維の働きにより、腸のぜん動運動が活発になりやすく、デンプンの分解も合わさっておならが出やすくなるのです」

Q.サツマイモを食べることで、おならのにおいには何らかの影響が出るのでしょうか。

岸さん「先述したように、おならには腸で分解されるときに細菌の働きで発生したガスが含まれているので、ガスの種類によってはにおいがします。食物繊維を分解する過程で発生するガスのほとんどは二酸化炭素なので、サツマイモを食べたときに出るおならには、においのもとであるアンモニアがほとんど含まれず、臭くないといわれています。

ちなみに、肉や魚・卵などのタンパク質、脂質は腸内で悪玉菌の餌になり、アンモニアといった臭いにおいの元になるガスが発生します。臭いおならが出ても、体が栄養素を分解している結果なので一概に悪いとはいえないものの、食生活の乱れやストレス、便秘などによって腸内環境が乱れ、悪玉菌が増えている可能性もあります。おならの臭いが気になるときには便秘を改善し、腸内環境の改善効果が期待できるサツマイモを、むしろ積極的に食べてみるとよいでしょう」

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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