オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

  • HOME
  • ライフ
  • DVは身体だけの問題ではない…“精神的”“性的”暴力は「本当につらい」の声

DVは身体だけの問題ではない…“精神的”“性的”暴力は「本当につらい」の声

DVの定義について解説したテレビ番組がSNS上で話題に。DVには「身体的な暴力」「精神的な暴力」「性的な暴力」があるといいますが、どんな行為が該当するのでしょうか。

DVにはどのような行為がある?

 ドメスティックバイオレンス(DV)の定義について解説したテレビ番組の内容が先日、SNS上で話題となりました。番組によると、DVには平手で打つなどの「身体的な暴力」、怒鳴るなどの「精神的な暴力」、セックスの強要などの「性的な暴力」があるとのこと。「DVは身体的なものに限らない」という注意喚起に対し「その通り」「本当につらい」といった声が上がりました。DVにはどのような行為が含まれるのでしょうか。オトナンサー編集部では、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

配偶者に限らず内縁関係や元夫婦にも

Q.DVの定義や、DVが含んでいる法的問題について教えてください。

刈谷さん「DVそのものを定義した法律は存在しませんが、いわゆる『DV防止法』(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)では、『配偶者からの暴力』として身体に対する暴力や心身に有害な影響を及ぼす言動を指すと規定されています。『配偶者から』と規定されていますが配偶者に限らず、内縁関係にある者や離婚した元夫婦などによるこれらの行為も規制対象となっています。DVが行われた場合、民事上は不法行為(民法709条)が成立し、被害者は加害者に対して損害賠償を求めることができます。また、刑事上は暴行罪(刑法208条)や傷害罪(同204条)、侮辱罪(同231条)、名誉棄損罪(同230条)に該当する可能性があり、現実に逮捕される例も少なくありません」

Q.「身体的な暴力」として「平手で打つ」「足で蹴る」「物を投げつける」などの行為はDVに該当しますか。

刈谷さん「たとえ直接身体に接触しなくとも、刑法の暴行罪は成立しますから、いずれのケースにおいても、DV防止法における身体的な暴力として判断される可能性が非常に高いといえます。身体的な暴力に関しては想像がつきやすいと思いますが、ほかの事例としては髪の毛を引っ張って引きずり回す、胸ぐらをつかんで壁にたたきつける、ベルトで首を絞めるなど、刑法犯として処罰されても何ら不思議ではない事例があります」

Q.「精神的な暴力」として「怒鳴る」「無視」「人前でバカにする」「命令口調で話す」「人間関係を制限する」「生活費を渡さない」などの行為はDVにあたりますか。

刈谷さん「これらのケースはいずれも精神的な暴力と評価されうる行為です。したがって、こうした行為にさらされている場合、身体的な暴力と同様に、損害賠償を請求したり、DV防止法上の保護命令を受けたりすることが可能です。しかし、精神的な暴力は身体的な暴力と違って傷などが残るわけではないため、そうした行為があったことを証明することが困難であり、救済を受けられないケースがしばしばあるのが実情です。こうした結末を避けるために一番有用なのは、レコーダーで録音するなどして、証拠をしっかりと残しておくことです。日記なども、具体的であれば立証の材料になるでしょう」

刈谷さん「その他、精神的な暴力に関する事例としては、内閣府の調査によれば『実家に火をつけて車で突っ込む』などの発言を繰り返したり、毎日のように『能なし』といった暴言を吐いたり、などの行為が挙げられます。なお、生活費を渡さないという行為は精神的な暴力に該当する可能性もありますが、『悪意の遺棄』として、民法第770条において独立の離婚原因として挙げられている要件にも該当するので、そちらからのアプローチで法的請求を行っていく選択肢も考えられます」

Q.「性的な暴力」として「セックスの強要」「避妊に協力しない」などの行為はDVに該当しますか。

刈谷さん「夫婦間といえども、常に性交渉に応じなければならないわけではありません。従って、無理やり性交渉をするような『セックスの強要』とまで評価されるようなことがあれば、性的な暴力としてDVに該当する可能性が高いといえます。同様に『避妊に協力しない』についても、避妊具を装着しないまま行う性交渉を拒絶されたにもかかわらず無理やり行為に及んだような場合には、性的な暴力としてDVと評価されうるでしょう。その他、暴力を伴うものや肛門による性交渉を強要するケースが、内閣府の調査による『性的な暴力』の具体例として挙げられています」

1 2

刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。