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「教え魔」はどんな人でどこにいる? 2000人調査、約4割が「迷惑」 対処法は?

コロナ禍で「人の温かさ」懐かしく?

 次に、アンケート結果や教え魔への対処法などについて、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

Q.全体として、結果についてどう思われますか。

小日向さん「アンケート結果をみると、教え魔の性別(推定含む)は男性が約8割で、年代(同)についても、50代以上が約5.5割となっています。これは『教え魔』と聞いて、多くの皆さんが想像する人物像に近いものではないかと思います。そういった意味では、想定内の結果といえるのではないでしょうか。

また、教え魔に遭遇した場面で多い場所についてみると、ゴルフ、ボウリング、バッティングセンターなど、主に『お互い隣り合って、1人でプレーしている』という環境の共通項がみられます。こうした環境も“思わず口を出したくなる”という心理を働きやすくさせていると推測でき、『やはり』という感じの結果といえるでしょう」

Q.教え魔についての感想として、「迷惑だ」(38.8%)よりも「ときにはありがたい」(56.1%)と思った人が多い結果となりました。なぜでしょうか。

小日向さん「大きくは2つの理由が考えられると思います。一つは、アンケート回答者の年代の約7割が40代以上で、社会属性が会社員、自営業、アルバイト、つまり、労働者ということから推測できる理由です。

この層は社会人として経験値も重ね、『教える側』を経験している人も多いでしょうし、若いときに教えてもらったことが現在の自分自身の糧となっていることを実感する年代でもあります。そのために『教えてくれる』ということを素直に、善意として受け止めることができる人が多いのではないでしょうか。

そして、もう一つの理由は、アンケート自体が今年7月に行われた、つまり、コロナ禍で行われたということです。『気が進まない飲み会がなくなって清々している』という人も確かにいますが、私の印象では、人とのコミュニケーションがなくなって孤独や寂しさを感じている人も多いです。

そうしたとき、かつて、見知らぬ人と交わしたコミュニケーションを振り返り、当時はあまり感じなかったとしても、コロナ禍で思い出すと『温かいもの』として感じられるという心境もあるのではないでしょうか」

Q.教え魔に「50代以上の男性」が多いのはなぜでしょうか。

小日向さん「50代以上の男性はある程度長く生きてきて、さまざまな経験も積んでおり、かつ、社会的立場では教えることが圧倒的に多い世代と一致します。つまり、他人に教えることがその人にとって、自然なことになっているからではないでしょうか」

Q.遭遇した人の年代や性別から、どのような人が教え魔に遭いやすいと思われますか。

小日向さん「教え魔に遭遇した人の年代でみると、30代が20%、40代が34%、50代以上が35%となっています。アンケートを行った媒体(Yahoo!ニュース)の読者層も影響しているかもしれませんが、教える側も若い人を敬遠する傾向があるのではないかと感じました。

ひと昔前までは『若者には年長者が教えてあげるべきだ』といった価値観が強かったものですが、現在は『若い人が考えていることは分からないから、関わらないのが賢明』といった価値観の方が一般的になっています。その結果として、30代以上の方が、教える側も声を掛けやすいという現象がみられるのではないでしょうか」

Q.教え魔への対処法を教えてください。「ときにはありがたい」「ありがたい」と思う場合と「迷惑だ」と思う場合とでお願いします。

小日向さん「アンケート結果の『教えられた時間』を見ると、10分以内が約半数で、30分以内まで含めると約8割です。また、教えてもらった個別事例でも、好意的に受け止めた人のほとんどが30分以内です。このことから、逆に言えば、それ以上長く教えられると不快感の方が強くなる可能性が考えられます。従って、対処法としては、できれば10分以内、長くても30分以内で切り上げてもらうように心掛けるのがよいでしょう。

また、『とにかく教えられることが嫌だ』と感じるのであれば、思い切り不快な表情をすることが一番手っ取り早いです。しかし、教え魔は善意で言ってきていますし、さらに他人の感情に無頓着なタイプも多いので、表情だけでは気付いてもらえない可能性が高いです。その場合は、言葉で明確に断るしかありません。

ただし、『やめてください!』などと、つっけんどんに言うと、その後に顔を合わせた際など気まずい雰囲気になる危険性がありますので、『ありがとうございます。でも、遊びでやっていますので、もう結構です』『すみません。他の指導者についていますので』など、冒頭に『ありがとう』『すみません』を付けてお断りするのが無難でしょう。相手の感情に無頓着な人が、自分が傷つけられることにも無頓着だとは限りませんので注意しましょう」

※この記事はオトナンサーとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは7月2~3日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、2000人から有効回答を得ました。年代は30代20%、40代34%、50代以上35%が多く、男女比はほぼ2対1。職業は会社員57%が最多で、自営業10%、専業主婦(主夫)10%、アルバイト9%などでした。

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

コメント

1件のコメント

  1. 教え魔の迷惑行為への対処方法は分かりましたが、
    自分が加害者にならないための考察も必要だと思います。
    この手の問題は、誰もが抱えている心の闇のような問題だと私は思います。