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「鼻出しマスク」「顎マスク」、なぜする? 自分の身近にいたら、どう対処?

新型コロナウイルスの流行下、「鼻出しマスク」「顎マスク」の人はなぜ、そうしているのでしょうか。アンケート結果と医師の見解を紹介します。

「鼻出しマスク」「あごマスク」の人がいたら…
「鼻出しマスク」「あごマスク」の人がいたら…

 新型コロナウイルス感染予防で着用する機会が大幅に増えた「マスク」ですが、「鼻出しマスク」といわれる、鼻が出た状態の人や、顎(あご)にかけているだけで、口も鼻も出た「顎マスク」の人もいます。1月の大学入学共通テストでは、鼻出しマスクを再三注意されたにもかかわらず、監督者の指示に従わなかったため失格となった受験生が話題となりました。

 彼らはなぜ、そのような着け方をするのでしょうか。また、きちんとマスクを着けている人は身近に「鼻出しマスク」「顎マスク」の人がいるとき、どう思っているのでしょうか。マスク着用について実施したアンケート結果を分析するとともに、医師の見解を聞きました。

「眼鏡がくもる」「息苦しい」…

 アンケートは2月10~17日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、1805人から有効回答を得ました。

「あなたは他人と接する場所にいるとき、どのようにマスクを着けていることが多いですか」という問いには(1)口と鼻を覆う98.0%(2)鼻出しマスク1.6%(3)あごマスク0.1%(4)マスクをしていない0.4%と、正しくマスクを着けている人が圧倒的に多い結果となりました。今回のアンケートは任意参加方式のため、普段、正しくマスクを着けない人が回答を避けた可能性はありますが、それを差し引いても、かなり多くの人が「口と鼻を覆う」、正しい状態でマスクを着けているとみられます。

 では、「口と鼻を覆う」と答えた人たちは「鼻出しマスク」「あごマスク」の人をどのように思っているのでしょうか。複数回答で尋ねると「せきや、くしゃみをされたら嫌」という声が62.7%、「感染させられそうで怖い」との声が42.3%に上り、「特に気にならない」人は8.4%にとどまりました。ちなみに「マスクをしないより鼻マスクはまし」という声も16.3%ありました。

 自由記述欄では「鼻や口を出すならマスクをしていないのと一緒」「マスクをする意味が分かっていない」「非常識、自己中にしか見えない」「新型コロナに感染している確率が高いので近寄りたくない」と厳しい意見が並ぶ一方、「皮膚が弱くてマスクができない人には配慮を」という声もありました。

 一方、嫌悪感や恐怖感を持って見られている「鼻出しマスク」「あごマスク」の人や「マスクをしていない」人にその理由を複数回答で聞くと「眼鏡がくもるから」が54.1%、「息苦しいから」が48.6%と多く、「過敏症だから」「肌の病気のため」「しゃべりにくいから」という声も少数ながらありました。

 なお、「あごマスク」に対して世間では「口も鼻も出ているから、着けていないのと同じだ」と指摘する声があり、鼻マスクも「意味がない」との声がありますが、彼らとしては「一応マスクを着けている、という無言のアピール」「マスクをするよう言われたとき、すぐ覆うため」という理屈があるようです。

「鼻出しマスク」の問題点

 アンケートの結果に対する見解とマスクの意義について、内科医の市原由美江さんに聞きました。

Q.新型コロナウイルスの感染予防におけるマスクの効果について、改めて教えてください。

市原さん「不織布マスクと布マスクとで差はありますが、いずれも基本的に、マスクは自身の飛沫(ひまつ)を周囲に拡散させない効果があり、感染拡大予防効果が期待できます。不織布マスクはそれに加えて、周囲からの飛沫による感染を予防しやすい効果があります」

Q.鼻出しマスクの問題点は。

市原さん「大声を出さず、静かに会話をしているだけであれば、鼻が出ていても自身の飛沫を周囲に拡散させる可能性は低いです。ただし、くしゃみやせきをしたときには、鼻からも飛沫が飛ぶ可能性があるので、他者への感染拡大を予防する効果は乏しいと思います。さらに、鼻が出ている場合は鼻からウイルスが侵入するので、自身にとっての感染予防効果はありません」

Q. マスクをしない人や「あごマスク」の問題点は。

市原さん「マスクをしない人は自身が感染するリスクが上がりますし、自身が感染した後もマスクをしないわけなので、他者に感染を拡大させるリスクもかなり高くなります。あごマスクはマスクをしない人と同様の感染リスクがあります。

さらに、一時的にマスクをあごにずらして装着している状態なので、もし、あごにウイルスが付着していた場合は、あごマスクの移動により、ウイルスをマスクの内側に付着させてしまうことになるため、感染リスクが増します。新型コロナウイルスが終息するまでは、マスクを正しく着けることが必須です」

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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