日本のお正月を彩る「しめ縄」、意味や由来とは? 種類や飾り方も解説!
日本の正月といえば、正月飾りとして「しめ縄」を玄関先に飾る家庭が多いですが、どんな意味があり、いつまでに飾ればよいのでしょうか。専門家に聞きました。

年末年始を控え、正月を迎える準備を進めている人も多いことでしょう。日本の正月といえば、正月飾りとして「しめ縄」を玄関先に飾る家庭が多いですが、ネット上では「毎年なんとなく飾っている」「いろんな形があるけど、どう違うのか分からない」「マンション住まいだけど、飾った方がいいの?」など、その意味や由来について疑問を持つ人もいるようです。
日本の正月を彩る、しめ縄飾りにまつわるさまざまな疑問について、和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。
神様の領域と人間の世界を隔てる
Q.しめ縄飾りの意味や由来を教えてください。
齊木さん「しめ縄飾りは、幸福・豊穣(ほうじょう)を運んでくれる『年神様(としがみさま)』を家に迎え入れるためのものです。
しめ縄には、神様のいる清らかな領域と私たちがいる空間を隔てる“結界”の役割があります。『しめ』には『神様が占める場所』という意味があるとされ、天の岩戸に隠れた天照大神(あまてらすおおみかみ)が外に出た際、再び天の岩戸に入ってしまわないよう、しめ縄で岩戸を閉じたという日本神話に由来するといわれています」
Q.しめ縄飾りに付いている縁起物には、どのような意味があるのですか。
齊木さん「しめ縄飾りの縁起物には、次のようなものがあります」
・紙垂(しで)…稲妻を模したともされる和紙の装飾です。神域と現世の境界を意味し、豊作への願いが込められています。
・譲り葉…新しい芽が出ると落葉するという特徴を持つ植物で、その様から子孫繁栄を意味する縁起物です。
・裏白(うらじろ)…シダ科の植物で、裏が白いことから、「心の潔白」を意味する縁起物です。また「白髪になるまで長生きする」という意味や、「歯垂(しだ)る→齢垂(しだ)る」にかけて、長寿を願う意味があります。
・橙(だいだい)…鏡餅にも飾り付けをされる、正月の縁起物の代表格です。「代々(だいだい)栄える」という語呂で縁起を担ぐ意味があります。
・南天(なんてん)…「難転(難を転じて福となす)」という語呂合わせから、「災厄を退ける」「招福」の縁起物とされています。
・海老(えび)…おせち料理でも出てきますが、長寿を願う縁起物です。
・昆布(こんぶ)…「よろこぶ」との語呂から、「喜びの多い一年となるように」という願いを込めています。「子持ち昆布」という縁起物もあり、子孫繁栄の意味もあります。
・水引…見栄えがよくなる効果もありますが、結び直しができる水引は「何度も良いことが起こるように」という願いが込められています。
Q.しめ縄飾りの形状にも、種類や違いがあるのでしょうか。
齊木さん「しめ縄飾りには、大きく分けて4つの種類があります」
【ごぼう注連】
片側のみがゴボウのように細いしめ縄で、主に神棚に用いられます。神棚に飾るときは紙垂などを付けます。通常の縄は右へねじる「右綯い(みぎない)」ですが、特別な物である正月のしめ縄飾りは、左へねじる「左綯い(ひだりない)」です。
【ごぼう注連+前垂れ】
ごぼう注連に前垂れを付けたもの。裏白や譲り葉、橙、紙垂などの縁起物が飾られています。
【玉飾り】
輪にした太いしめ縄に、前垂れや橙、扇、裏白、譲り葉、紙垂など、さまざまな縁起物を付けたものです。
【輪飾り】
輪にした細いしめ縄に、紙垂や譲り葉を付けたものです。小型のもので、室内の水回りに飾ります。
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