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「ビーフシチュー」「ハッシュドビーフ」「ビーフストロガノフ」は何が違う?

見た目も材料もそっくり。日本人に愛される洋食の代表格「ビーフシチュー」「ハッシュドビーフ」「ハヤシライス」「ビーフストロガノフ」ですが、あなたはその違いを正確に言えますか。編集部が「洋食のプロ」に取材しました。

肉や野菜がたくさん入った「ビーフシチュー」
肉や野菜がたくさん入った「ビーフシチュー」

 見た目が似ていることから、それぞれの違いが分かりにくい「ビーフシチュー」「ハッシュドビーフ」「ハヤシライス」「ビーフストロガノフ」ですが、ここで一度、整理しておくのも有益かもしれません。

 オトナンサー編集部が、日本洋食協会の岩本忠会長に取材しました。

「シチュー」は煮込み料理全般を指した言葉

 まず岩本さんによると、シチューは英語の「stew=煮込む」から来ており、シチューは本来、カレー、ポトフ、もつ煮込みなどの煮込み料理全般を指す言葉です。つまり日本人の言う「シチュー」は、数多くあるシチューの一つにすぎないことになります。

 いわゆる「ビーフシチュー」は牛肉(ネック、スジ、ブリスケ、ほほ肉など)を柔らかくしてデミグラスソースで煮た料理です。基本的にはブロック肉を用いて、付け合わせに、ニンジンやジャガイモ、ブロッコリーなどを使います。「店舗や家庭ごとに個性があり、大量のデミグラスソースでごった煮にしたものもあれば、お皿に肉とデミを盛り付けて、付け合わせは別皿など、さまざまなバリエーションがあります」(岩本さん)。

 ちなみに、デミは古典フランス料理で用いられたもので、現在のフランス料理では使用されていないとのこと。フランス料理も進化しており、近年はもっと「軽いもの」が主流になっているそうです。

ハッシュドビーフはハヤシライスと同じもの

 次に「ハッシュドビーフ」は「hash=細切れにする」の意味通り、細かく切った牛肉やタマネギをデミで煮込んだ料理です。「ハヤシライス」と同じものですが、メーカーが、「新しい料理」との触れ込みで販売したことがきっかけで“別物”になったそうです。

 岩本さんによると、このハッシュドビーフは「ハッシュアンドライスが語源」「林さんが作った」などの諸説あるといいますが「真実は誰にも分かりません」。そもそも海外で、「ハッシュ」という言葉を使った料理は「コンビーフハッシュ」「ハッシュブラウン」くらいで、ハッシュドビーフは日本にしかない料理です(米国の一部などで「ハッシュ&ライス」として提供)。

 ハッシュドビーフをご飯にかけたハヤシライスも当然、日本にしかない料理で、その名の由来は、書店「丸善」創業者の早矢仕有的(はやし・ゆうてき)氏が考案したという説が最有力ですが、やはり「真実は定かではありません」。

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