いつ、何を食べたらよい? 「乗り物酔い」の予防・緩和に効果的な食べ物とは
乗り物に長時間乗る機会の多い時期です。乗り物酔いの予防策や、酔った場合に効果のある食べ物について解説します。

お正月を古里で過ごした人たちのUターンラッシュが始まっています。旅行など、乗り物に長時間乗る機会の多い時期ですが、「乗り物酔い」と飲食物の関係について、ネット上で話題になっています。乗り物に酔ってしまうと吐き気をもよおすことがあるため、食べたり飲んだりすることがつらくなる場合がありますが、酔い止めの薬を持っていない時、適切な食べ物を取ることで症状が緩和するケースもあるようです。
ネット上では「無理にでも食べた方がよいの?」「食べて治るものがあるなら知りたい」など、さまざまな声が上がっていますが、乗り物酔いに効果のある食べ物はあるのでしょうか。予防策と合わせて専門家に聞きました。
空腹避け、あめやガムを準備
まず、乗り物酔いを起こすメカニズムについて、医師の市原由美江さんに聞きました。
Q.そもそも、乗り物酔いはなぜ起こるのでしょうか。
市原さん「人間の平衡感覚は、耳の内耳にある部位『前庭(ぜんてい)』『三半規管』で調整されています。乗り物による振動、前後・左右・上下への動き、発車や停止などの刺激は、内耳を通じて脳に伝達されます。これらの“慣れていない情報”が脳へ伝わると、人によっては自律神経が乱れてしまい、結果として頭痛・めまい・吐き気・嘔吐(おうと)・冷や汗などの症状を引き起こします。
過去に乗り物酔いをした経験がある人は、『乗り物に対する不安感』から乗り物酔いを起こすこともあり、精神的要因も関係があるとされています。また、視覚から得る情報と実際の体の動きが異なる場合は、自律神経や平衡感覚を刺激しやすくなります。なるべく乗り物の進行方向が分かる位置に座り、目線は進行方向に向けておくようにして、本やスマートフォンなどは見ないように注意しましょう」
Q.乗り物に酔いやすい人/酔いにくい人の違いはありますか。
市原さん「乳幼児や高齢者は乗り物酔いをしにくく、小中学生に多いことが分かっており、特に男子よりも女子に多い傾向にあります。また、大人になっても乗り物酔いが続く人もいます。睡眠不足や体調不良の時は乗り物酔いを起こしやすいため、酔いやすい人は体調をしっかりと整えましょう。
また、乗り物酔いしやすい人でも、慣れると症状が出なくなることがあります。乗り物に乗る頻度を増やしたり、体を激しく動かす運動を定期的に行ったりすると慣れてきます。
酔いにくい人の理由は分かってはいませんが、平衡感覚の刺激が脳に伝わっても自律神経への乱れを起こしにくい体質があるといえるでしょう」
Q.乗り物に乗る前などの食事について、注意点を教えてください。
市原さん「空腹でも満腹でも酔いやすくなるため、乗り物に乗る前は、適度な量の食事を取っておくことが必要です」
それでは、具体的にどのような食べ物をどう食べれば、乗り物酔い対策になるのでしょうか。管理栄養士の川村郁子さんに聞きました。
Q.乗り物酔いを予防するために、食事の面で注意すべきことは。
川村さん「食べ過ぎても空腹でも、乗り物酔いの原因となりうるため、乗車前は軽く食事をしておきましょう。うどんやそば、雑炊など、脂質が少なく消化しやすいメニューがお勧めです。果物ならバナナなどもよいですね。食べるタイミングは、乗車する1時間前を目安にするとよいでしょう」
Q.それでも酔ってしまったとき、症状に効果のある食べ物はありますか。
川村さん「あめやガム、梅干しを食べると唾液の分泌が促され、それによって自律神経が整いやすくなるため、乗り物酔いの改善効果が期待できます。口の中に含ませておきながら、唾液を分泌させるような食品がお勧めです」
(オトナンサー編集部)
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