夫が家出し、2子と暮らす妻が選ぶべきは「今すぐ離婚」か「とりあえず別居」か(上)
夫と別居した後、すぐに離婚することが最善策とは限らないようです。「今すぐ離婚する妻」「とりあえず別居する妻」のどちらが有利なのか、具体的なケースを元に筆者が解説します。

夫の悪質ないじめ、しつこい粘着質、そして執拗な嫌がらせ…長年にわたり耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、我慢に我慢を重ねてきたのは「まだ娘が小さいから」「自立する資金が足りないから」「旦那が怖くて言い出せないから」。
そして念願叶い、憎き夫を追い出し、心の平和を取り戻し、悠々自適の生活を手に入れたのだから、あとは過去の恨みを晴らすだけ。とはいえ今さら謝らせたり、「悪かったよ」と反省させたり、「同じことはしないよ」と改心させたりしても仕方がありません。
責任の取り方として認められるのは、お金だけ。金額の多さと満足感は比例するので、復讐心に取りつかれた妻は夫から取り立てる金銭の最大化を図るのですが、必ずしも「今すぐ離婚」が最大化の最善策とは限りません。
なぜなら、離婚すると婚姻費用(別居中の生活費)をもらえなくなるので、できるだけ長く別居を続け、ようやく離婚に踏み切った方が、「今すぐ離婚」よりも妻が得る合計額が増えるのだから。
私のところにやって来る相談者の方向性は、必ずしも「離婚」の一択ではありません。さまざまな思惑で「とりあえず別居」という中途半端な状態でくすぶっている人も一定数、存在します。
では「今すぐ離婚する妻」「とりあえず別居する妻」のどちらが金銭的に有利なのでしょうか。もちろん、ケース・バイ・ケースですが、今回は後者の方が厳しいというケースを紹介しましょう。
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
山崎学(43歳) 年間の手取り額650万円の団体職員
山崎智子(40歳) 年間の手取り額170万円の契約社員
山崎日向(14歳) 中学生(公立)
山崎翼(9歳) 小学生(公立)
コメント