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寝ても日中に眠い…実は“就寝前の習慣”に問題あり 専門家が教える「良質な睡眠」を取るコツ

睡眠を取っても日中に眠くなったり、疲れが取れなかったりする原因について、上級睡眠健康指導士に聞きました。

睡眠を取っても日中に眠い場合、どんな原因が考えられる?
睡眠を取っても日中に眠い場合、どんな原因が考えられる?

 睡眠には、日中に活動して疲れた脳や体を休め、疲労を回復させる働きがあるとされています。ただ、中には睡眠を取っても日中に眠気を感じたり、疲れが取れなかったりして困っている人もいるようです。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。上級睡眠健康指導士の山本智子さんに聞きました。

就寝前に脳を興奮させる行為はNG

Q.前日に睡眠を取ったにもかかわらず、日中に眠くなったり疲れが取れなかったりすることがあります。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

山本さん「原因の一つとして、睡眠は取ってはいるものの、必要な睡眠時間を取れていないことが考えられます。これがいわゆる『睡眠不足』の状態です。

自分に合った睡眠時間は、人によってそれぞれ異なります。成人の場合は、6時間以上寝た方がよいとされています。7~8時間の睡眠が良いと断定的にいわれることもありますが、必ずしもそうとは限りません。自分に合った睡眠時間かどうかが大切です。

また、自分に合った睡眠時間を見つける方法は、翌日の体調や頭のさえ具合などから判断する方法があります。自分に合った睡眠時間を知って、毎日きちんとその時間の睡眠を取ることが大前提となります。

このほか、自分に合った睡眠時間を見つけるときは、人の意見に左右されないようにすることが大切です。人によって、最適な睡眠時間は違います。

日中に眠くなることについては、どの時間帯に眠くなるのかにもよります。人間には、午後2時から午後4時ごろにかけて眠くなるリズムが初めから備わっていて、実は日中に眠くなるのは自然なことです。睡眠をしっかり取っていても眠くなることがあるので、決して不思議なことではありません」

Q.睡眠で疲れを取り、翌日に眠くならないようにするにはどうすればよいのでしょうか。就寝前にお勧めの取り組み、就寝前にしてはいけない取り組みについて、それぞれ教えてください。

山本さん「大前提は自分に合った睡眠時間を見つけて、その時間を規則正しく守ることです。寝る前は2つのポイントがあります。1つは体の深部体温を下げること、もう1つは脳が興奮しないようにすることです。それぞれ紹介します」

(1)体の深部体温を下げる
「ぬるめのお風呂に入る」「ゆっくり深呼吸をする」などのリラックスルーティンを見つけることが大切です。特に寝る2~3時間前にぬるめのお風呂に入るのがお勧めです。

お風呂に入ることで一旦体温が上がって、お風呂から上がると末梢(まっしょう)部からだんだんと熱が放散され体温が下がっていきます。体の深部体温が下がることで、寝つきが良くなるという仕組みがあります。どうしても熱いお風呂に入りたいという場合は、より早めの時間に入るのがよいでしょう。

(2)脳を興奮させない
まず、スマホは就寝前に見なくて済むなら見ない方がよいでしょう。睡眠は光に強く影響されるからです。就寝前にスマホやテレビ、パソコンを見るということは、ブルーライトの影響を受けているということになります。対処法として一番良いのは、寝る1時間前からはリラックスタイムとして、スマホやテレビ、パソコンなどを使わないようにすることです。

ただ、「LINEやメールの返信をしなくてはならない」などの理由で完全にスマホを手放すのが難しい場合は、機器の設定をブルーライトカットやナイトモードにすることで、ブルーライトを少し軽減できます。例えば午後10時から翌日の午前7時までナイトモードにし、ブルーライトをカットするフィルムを使ったり、ブルーライトカットの眼鏡をかけたりなどの工夫をするとよいでしょう。

また、TikTokなどで配信されているショート動画は良くないとされています。短時間のうちに展開が多く変化することで、脳が興奮してしまうからです。

光環境は睡眠に非常に影響します。寝る1時間前から暖色系の間接照明にしていく、または意図的に照明を落とすことで寝つきが良くなります。特に子どもは目の中にある水晶体が濁っていないことから、より光の影響を大きく受けます。お子さまがいる場合は、「スマホなどの利用時間をきちんと決める」「親が部屋の明かりを意図的に消す」などの工夫をしてあげましょう。

Q.もし睡眠を取っても眠くなる状況が続く場合、どのように対処したらよいのでしょうか。医療機関を受診する目安も含めて、教えてください。

山本さん「眠気の程度にもよります。大前提としては自分に合っている睡眠時間を見つけて、それを守ることです。

もし、しっかり寝ているはずなのに、異常に眠たいという場合は、『睡眠時無呼吸症候群』かもしれません。『周囲の人から寝ているときのいびきを指摘される』『起床時にぐっすり眠った感じがない』『口の中が乾いている』『頭痛がある』『疲れている』などの症状がある場合は、睡眠外来を受診した方がよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群になっていると、何か作業をしているときでも耐えがたい眠気が起こり得るので、事故につながる可能性があります」

* * *

 適切な睡眠時間は、人によって違いがあるようです。また、寝つきを良くするためにはぬるめのお湯につかることや、光の影響を小さくする工夫が必要であることも分かりました。特に、寝る前のスマホの操作は睡眠にとっては良くないため、できるだけスマホの使用を控えるようにしましょう。

(オトナンサー編集部)

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山本智子(やまもと・さとこ)

上級睡眠健康指導士

大学時代に臨床心理学科にて睡眠の研究に従事。15年間の会社員生活の後、2022年に独立。中小企業の人手不足倒産を防ぐための事業の一環として、睡眠改善を用いた健康経営支援を実施。上場企業、小学校、中学校、地域のサロン、オンライン等で、「睡眠衛生教育」に関する講座実績多数。公式ホームページ(https://www.growthmuch.com

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