栄養がなさそう…「かいわれ大根」実は“がん予防”になるって本当? 管理栄養士に聞いてみた
薬味、サラダやスープの具、料理の彩りなどで活躍する「かいわれ大根」ですが、「栄養がなさそう」という声も少なからず聞かれます。かいわれ大根の栄養価について、管理栄養士に聞いてみました。

薬味としてはもちろんのこと、サラダやスープの具、料理の彩りなどで活躍する「かいわれ大根」。価格も年間を通じて安定していることから、家庭料理にもよく使われます。一方で、栄養価については「あんまり栄養がなさそうなイメージ」「かいわれの栄養って何だっけ…?」など、疑問の声が聞かれます。
かいわれ大根に含まれる栄養は多いのか、それとも少ないのか……実際のところについて、管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
ダイコンにほとんど含まれないβ-カロテンも
Q.そもそも「かいわれ大根」とはどんな食材ですか。
岸さん「かいわれ大根は、ダイコンの芽です。ダイコンの種から発芽した直後の、苗の茎部分である『胚軸(はいじく)』と子葉を食べるもので、ブロッコリースプラウトや豆苗などが有名な、いわゆる『スプラウト』という発芽食材です。
持ち味は、シャキシャキした食感とピリッとした辛みです。ダイコンにはない栄養素も含まれ、昨今はスーパーフードとしても注目されています。屋内で水耕栽培されるため、特に旬はなく、季節を問わず流通しています。価格も変動しにくいので、毎日の食生活に取り入れやすい野菜です。
なお、『かいわれ(貝割れ)』という名前は、葉の形が二枚貝の開く姿に似ていることに由来すると考えられています」
Q.「かいわれ大根は栄養が少なそう」というイメージを持つ人も少なくないようですが、実際のところ、かいわれ大根にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。
岸さん「かいわれ大根は可食部100グラム中21キロカロリーと非常に低カロリーで、小さなパック1つ分で10キロカロリー程度となっています。また、ビタミンKやビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、葉酸、カリウムなど、非常に多くの栄養素が含まれています。また、淡色野菜であるダイコンにはほとんど含まれない栄養素であるβ-カロテンも含まれており、強い抗酸化作用が期待できます。
さらに、辛み成分である『イソチオシアネート』や、胃腸の働きを助ける成分『ジアスターゼ』『オキシダーゼ』も多く含まれます。イソチオシアネートは、ポリフェノールやカテキン、フラボノイドなどと同様に『フィトケミカル』と呼ばれる有用性成分で、こちらも強い抗酸化作用が注目されており、活性酸素の除去や、肝臓での解毒をサポートするなどの効果があることから、がん予防に好ましいと注目を集めています。抗菌作用を持つため、刺し身などの付け合わせとして添えられることも多いです。
ジアスターゼやオキシダーゼは消化を助けるため、胃もたれ予防に効果的です。肉類などの付け合わせにかいわれ大根が添えられることが多いのは、彩りのためだけではない生活の知恵なのです。
さらに、“睡眠ホルモン”とも呼ばれる『メラトニン』も含んでいます。こちらも高い抗酸化作用をもつ上、自然な眠りをもたらす効果があります。これらのことから、低カロリーでさまざまな健康効果が期待できるかいわれ大根は、栄養価の高い食材であるといえるでしょう」
Q.かいわれ大根の栄養を効率よく摂取できる「お勧めの食べ方」や、注意点とは。
岸さん「ジアスターゼやビタミンCなどは水溶性で、熱に弱い栄養素です。そのため、調理時は加熱時間に注意が必要です。
かいわれ大根は、サラダや和え物など『生で食べること』が、最も栄養価を摂取できる方法です。ビタミンEやAなどは脂溶性ビタミンなので、ドレッシングやマヨネーズをかけることで吸収効率を高めてくれます。脂溶性ビタミンは油で炒めることでも吸収されやすくなりますが、ジアスターゼやビタミンCが壊れないよう、なるべく短時間でさっと炒めましょう。
みそ汁やスープに入れると、溶け出た栄養素も汁ごと摂取できるのでお勧めです。ただし、煮過ぎてしまうと、食感と栄養素が損なわれるため、仕上げに入れるとよいでしょう。
栄養価が高いといっても、単体でたくさん食べることはなかなか難しい食材ですが、摂取したい栄養素などの目的によって、生で添え物やサラダに使用することはもちろん、カサを減らしてたくさん食べられる加熱調理にも、幅広く活用していただきたいです」
(オトナンサー編集部)
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