口臭が「ドブ臭い」…なぜ? 不快な口臭、考えられる「6つの原因」 歯科医師に聞いた
あなたは、自分や他人の口臭が「ドブ臭い」と感じたことはありますか。なぜ、口臭が「ドブ臭い」不快なにおいになってしまうのでしょうか。歯科医師に聞きました。
自分や他人の口臭に対して「ドブ臭い」と感じた経験はありませんか。ネット上を見ると、「コロナ禍のマスク生活で、自分の口臭のドブ臭さに気付いた」という人もいるようです。なぜ、口臭がドブ臭くなってしまうのでしょうか。千葉センシティ矯正歯科(千葉市中央区)院長で歯科医師の石川宗理さんに聞きました。
口の中にいる「細菌」が関与
Q.そもそも、「口臭」はどのようなメカニズムで発生するのですか。
石川さん「口臭の主な原因としては、次の3点が挙げられます」
【原因1:口の中】
「病的口臭」の9割は、口の中に原因があるといわれています。その原因は虫歯、歯周病、歯垢(しこう)、歯石、食べカス、舌の表面につく「舌苔(ぜったい)」、抜歯後の穴の骨が露出する「ドライソケット」、ストレスや老化による唾液の減少、義歯や入れ歯の清掃不良、口腔(こうくう)がん、合っていないかぶせが入っている…などです。
飲食物や嗜好(しこう)品も口臭に関与しており、ネギやニンニク、お酒、たばこなども口臭の原因となりますが、一時的なものなので、特に治療は必要ありません。
【原因2:口以外】
鼻や喉、呼吸器系、消化器系の病気、糖尿病、肝臓疾患などが原因で、口臭が起こる場合があります。
【原因3:心理的なもの】
実際は口臭がないのに、本人が口臭を気にして、日常生活に支障を来すような状態を「心理的口臭症」といいます。背景には、ストレスや心の病気が潜むケースもあります。
Q.「ドブ臭い」口臭になってしまうのはなぜですか。
石川さん「一般的に『ドブ臭いにおい』というのは、生臭い、食べ物が腐敗したような臭いのことを指します。口臭がドブ臭くなってしまう理由には、口の中にいる細菌が関与しています。
ドブ臭い口臭の主な原因物質は、『メチルメルカプタン』『硫化水素』『ジメチルサルファイド』といった揮発性の硫黄化合物です。メチルメルカプタンはタマネギが腐ったような臭い、
硫化水素は卵が腐ったような臭い、そしてジメチルサルファイドはキャベツが腐ったような臭いに例えられ、いずれも腐敗臭が特徴です。
こうしたにおいは、口の中にいる細菌が、食べカスやはがれ落ちた粘膜、血液成分などに含まれるタンパク質を分解する過程で出るガスによるものです。特に、酸素が嫌いな菌である『嫌気性菌』が多いと、口臭が強くなるといえます。嫌気性菌は歯周ポケットに存在しますが、歯周病が進行している人は歯周ポケットが深くなり、菌にとって最高の環境なので活発に増殖します。その結果、口臭も増してしまうのです。
以下に、ドブ臭い口臭になってしまう代表的な原因を6つ挙げます」
【歯周病】
慢性の炎症疾患であり、先述した嫌気性菌が増えるため、口臭が強くなります。進行すると歯茎の炎症だけではなく、歯を支えている骨である「歯槽骨(しそうこつ)」が失われてしまいます。炎症が強いと膿(うみ)が出ることがあり、それによりさらに口臭が強くなることもあります。
【虫歯】
虫歯になり、歯に穴が開いて、その部分に食べカスや歯垢がたまったままになると、口臭の原因になります。
【詰め物が合っていない(不適合)】
自分の歯の形にあっていないかぶせ物や詰め物が入っている場合、段差の部分に食べカスや歯垢がたまります。これが虫歯の原因にも、口臭の原因にもなります。
【ドライソケット】
抜歯した後の傷口である「抜歯窩(ばっしか)」がふさがらず、傷口がむき出しの状態のことです。激しい痛みと口臭を伴う場合があります。
【舌苔】
舌の表面についた白っぽい汚れです。
【ブラッシング不足】
ブラッシングでは、食べカスを取るのはもちろんですが、最も重要なのは歯垢(プラーク)の除去です。歯垢は、虫歯や歯周病の原因となる菌の塊なので、ブラッシング不足で歯垢が残っていると口臭の原因にもなります。
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(2016年)によると、デンタルフロスや歯間ブラシを使用している人の割合は、男性が30.6%、女性が46.3%となっており、まだまだ使用している人が少ないのが現状です。歯と歯の間は歯ブラシでは届かないため、フロスまたは歯間ブラシでの清掃が必須です。使用することで口臭予防はもちろん、虫歯や歯周病の予防にもなります。
「磨いている」と「磨けている」には大きな差があります。気になる人は、かかりつけの歯科医院で正しくブラッシングできているか指導を受けることをお勧めします。
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